2018年 フィジーの労働事情

2018年5月24日 講演録

フィジー労働組合会議(FTUC)

イボン・カルソン・ルトゥナセマナカ
フィジー空港旅客サービス労働組合 執行委員

 

1.労働情勢全般

 労使紛争の数は増加傾向にあり、フィジー国民が現状に満足していないことを示している。労働組合は活動を強化すべき状況にある。
 失業率も上がっている。特に若者の失業率が上がっており、労働組合青年部で活動している者にとってはとても重要な局面になってきている。組合の認知度を上げ、なぜ組合に入るべきなのか理解してもらえるような教育がますます必要になっている。ただ、若者の失業率が高いのは、教育程度が低いとか教育が足りていないということではない。識字率は80%以上であり、大学卒業者も多い。そのような人たちの雇用がつくり出されていないことが問題となっている。

  2016年 2017年 2018年(見通し)
実質GDP(%)
(出典元)
7.6%
(   )
 
(   )
 
(   )
物価上昇率(%)
(出典元)
3.9%
(   )

(   )

(   )
最低賃金
(時間額・日額・月額)
(出典元)
□時間(FJD2.32)
□日額(20.88)
□月額(407.60)
   (   )
□時間(   )
□日額(2016年に同じ)
□月額(   )
   (   )
□時間(2.68)*
□日額(26.12)
□月額(482.40)
   (   )
労使紛争件数
(出典元)
50
(   )
70
(   )
95
(   )
失業率
(出典元)
7.90%
(   )
7.90%
(   )
9.40%
(   )
法定労働時間
(出典元)
9時間/日
(   )
45時間/週
(   )
時間外/割増率
(通常時間)
休日/割増率
(賃金2倍)

通貨名:フィジードル(FJD)  1FJD通貨=約0.5USドル(2018年5月23日現在)

 フィジー政府は透明性をもって全てのデータを開示するという態度ではないので、データがあるところのみ埋めている。
*現在、2.75フィジードルにまで上がっているが、この額ではデーセントな家族生活には不足

2.労働法制の特徴

 労働関連法には、労働関係法、労働安全衛生法、労災補償法、労働組合法、公共職業安定法、賃金法の6つがある。社会保障制度としては、退職補償基金が運営するフィジー国民積立基金(Fiji National Provident Fund)がある。

3.労働組合、青年労働者の抱える課題

 本来は団体交渉の結果得られる労働協約がすべての基本となるべきであるにも関わらず、会社側は組合に耳を傾けないというのが現状である。フィジー空港旅客サービス労働組合は会社の株主にもなっているため、会社と特殊な関係がある。組合としては、労働協約の遵守を強く要望しており、使用者との間で多くの労使紛争が起きている。労使間で結論が出ないときには、労働省に持ち込んだり、さらに裁判所に持ち込んだりすることもできるが、現在フィジーは軍政下にあり、法的救済を裁判所に求めても対応が遅いというのが現状である。
 このような状況下で、組合員の声、労働者の声が経営側に届いていない。具体的には、何か事故が起きたときに改善のためにこういうことをすべきという報告書であるインシデント・レポートが作成されるが、それが経営側に届かず、自分の職を失うことを恐れる管理職によってそういう声が抹殺されている。これが今直面している課題の1つである。
 現在、社員750人の内、組合費を支払っている組合員は約600人だが、活動に参加しているのはその内310人しかいない。しかも、その多くが35歳以上のいわゆるシニア組合員である。組合の青年代表としての役割は、もっと多くの青年に組合活動に参加できるようにすることである。

4.課題解決の取組み

 労使紛争解決の一例をあげる。2017年12月から2018年1月までの37日間、職場がロックアウトされるということがあった。これは12月に開催された株主総会に株主として労働組合が出席したとき、経営者が怒ってゲートを閉じてしまったため、それ以降、組合員がオフィスに入れないという事態となった。この時は裁判所が経営側に裁判所命令を出してロックアウトが解除され。仕事に戻れた。この間の賃金、手当も補償された。

5.多国籍企業における労働事情

 一般的に言って、労使間にいつも緊張関係がある。労使が理解し合い、労働協約の範囲内で様々なことが実施されることを希望する。