2018年 ベトナムの労働事情

2018年11月15日 講演録

ベトナム労働総同盟(VGCL)
ダム クアン クー氏(Mr. Dam Quang Cu)

VGCL国際局部長

 

1.経済・労働情勢

2016年 2017年 2018年(見通し)
実質GDP
(出典元)
2,500 億USD
(GSO統計総局)
2.239億USD
(GSO)
2,387億USD
(IMF)
物価上昇率(%)
(出典元)
4.74
(GSO)
3.53
(GSO)
3.52(1-8月平均)
(GSO)
民間最低賃金(月額)
地域による4区分

公務員最低賃金
(出典元)
① 350万VNドン
② 310万VNドン
③ 270万VNドン
④ 240万VNドン
公 121万VNドン
(労働省)
① 375万VNドン
② 332万VNドン
③ 290万VNドン
④ 258万VNドン
公 130万VNドン
(労働省)
① 398万VNドン
② 353万VNドン
③ 309万VNドン
④ 276万VNドン
公 139万VNドン
(労働省)
労使紛争件数
(出典元)
286
(VGCL)
314
(VGCL)
165
(VGCL)
失業率(%)
(出典元)
2.3
(GSO)
1.62
(GSO)
2.19 (第2四半期)
(GSO)
法定労働時間
(出典元)
8時間/日
(労働法)
48時間/週
(労働法)
時間外/割増率
150%
(労働法)
休日/割増率
200/300%
(労働法)
通貨名:ベトナム・ドン 1べトナム・ドン=0.0000428770ドル(2018年11月9日現在)

 最低賃金には、民間の最低賃金と公務員の最低賃金があり、さらに民間企業の最低賃金は4つに分かれている。公務員は雇用される職務、職位、勤続年数により一定の係数が掛けられる。1年目では、この係数は2.34となっており、2018年の基本給は325万ドンとなる。
 技能労働者と技能を持たない労働者との賃金格差が広がっている。
 労働紛争件数は、集団サボタージュとストライキを合わせた数である。ストライキは法律に基づいたものであるが、ほとんどの紛争は法律の規制に基づかずに行われているという現実があり、集団サボタージュと表現している。発生する割合は外資系企業が最も高い。
 時間外労働には限度が設けられたおり、1日4時間、月30時間、年間200時間を越えてはならないとされている。しかし、特別な場合には年間300時間以内とする特別規定が設けられている。また、8時間以上連続勤務の場合、最低30分の休憩を取る権利がある。

2.労働法制、社会保障の特徴

 ベトナムの労働関係法制は、労働法、社会保険法、医療保険法、雇用法、労働組合法、企業法、民事法の7つから成る。この中で、ベトナム労働法が一番重要だと位置づけられている。
 労働法は雇用主との労働契約がある労働者(正規労働者)に適用され、正規労働者は社会保険にも強制加入となる。一方、非正規労働者の社会保険加入は任意となっている。雇用法はすべての労働者に対して、医療保険法は全国民に対して適用される。
 ベトナム労働法は1994年に制定され、これまで4回改正されてきた。直近の改正は2012に行われた。現在、議会において改正の動きがあり、順調にいけば2019年10月に改正労働法が成立する見込みである。今回は、特にベトナムが締結する国際協定、CTPTTに適合するよう改正が行われる。

3.労働組合の組織構造

 ベトナムの労働人口は5,510万人、労働契約のある労働者数は1,570万人で、その内1,200万人が組合員となっている。
 企業別労働組合は第2段階の産別か地方レベルの組合かどちらかに所属する。大きな省直轄の企業などは産別に所属するが、県レベルの企業はその県、省の組合に所属する。労使紛争を企業別組合で解決できない場合は、工場が所在する省労働組合が協力して解決をめざす。産別は産業政策などで意見反映をする役割を持つ。