2021年 ミャンマーの労働事情

2022年2月4日 報告

 国際労働財団(JILAF)ではユース非英語圏チームとしてミャンマー労働組合役員を招へいし、労働を取り巻く最新情報の共有や日本の労働組合の特徴、労使関係と生産性運動、労使紛争未然防止の取り組みと労働委員会の活動について学ぶためのプログラムを準備作成した。しかし、新型コロナウィルスの影響により来日交流が困難となり、「オンラインプログラム」による取り組みとなった。従来の「海外の労働事情を聴く会」も開催が不可能となったことから、ナショナルセンターと参加者提出の資料を基に、IMF・外務省・JETRO・JILAFの資料を参考にまとめたものである。

ナショナルセンター ミャンマー労働組合総連盟(CTUM)より参加者3名

 

1.基本情報

 ミャンマー連邦共和国は東南アジアのインドシナ半島西部に位置する共和制国家である。1989年までの国名はビルマ連邦、首都はネーピードー、国土は日本の約1.8倍でインド、タイ、バングラデシュ、ラオス、中国と国境を接し、人口約5500万人のビルマ族を中心とした多民族国家である。言語はミャンマー語、宗教は仏教徒が90%、政治は2院政、元首は大統領となっている。1988年に民主化によって社会主義体制は崩壊したが、その後も軍事政権復活・民族紛争・内戦・民主化・クーデターによる軍政復活と混迷を続け、情勢不安から多くの避難民が近隣国へ流出している。そのため、人口の約半数は貧困層でその多くが食料危機に瀕している。クーデター以降GDPは約20%減少、経済成長率も大きく減少して好転の兆しは見えていない。
 主要産業は、農業・天然ガス・製造業(縫製業)、名目GDPは約772億ドルで一人当たりのGDPは1441ドルである。天然ガス、衣類、農産物を輸出して機械、自動車、化学品、食品を輸入して主な貿易相手国は、日本、中国、タイ、インド、アメリカとなっている。経済成長率は5.7%、物価上昇率は6.2%、失業率は約4%である。
 対日関係は1954年から経済協力がスタートしたが、度重なる政変により状況監視が続き民主化以降は経済発展のための全面的支援が行われた。

2.労働事情

(1)ミャンマーにおけるクーデター前後の労働組合を取り巻く状況比較

2011年~2020年の文民政権

  • 労働組合の結成が認められる。
  • 政府、労働者、使用者による三者協議がスタート
  • 雇用機会の増加と外国資本の流入
  • 法律整備に向け労働者が議論に参加

2021年以降の軍事政権

  • 外国資本の撤退で工場閉鎖と失業者の増大
  • 労働組合員の逮捕、拘束、殺害
  • 法律で規定された交渉権が保障されていない。
  • 外出規制により市民生活が不安定となり収入が激減

(2)ミャンマー労働組合総連盟(CTUM)の現在の活動

 クーデター以降は労働組合活動の制限が厳しく、民主化運動がその中心となっている。

  • 各種デモへの参加
  • 国際社会と連携した労働者への支援
  • 民主化運動参加者に対する労働組合の意義やILO条約についての教育宣伝活動の実施
  • 民主的選挙結果の国際社会での承認に向けた取り組み
  • ASEAN、ILO、UN等への反軍事政権キャンペーンと民主化運動への支援要請
  • ゼネストや労働放棄による軍事政権への打撃
  • 民主化以降の新政権樹立に向けた新憲法の作成

(3)ミャンマーの労働者が直面している現状

  • 労働法改正作業中にクーデターが発生、以降労働組合は軍事政権と協力する意思はなく、三者協議は機能していない。
  • 労使紛争は労働組合主義による協議かグローバル企業の協力による使用者との解決を目指している。
  • 最低賃金の改定はコロナとクーデターのため未実施
  • 軍事政権下、使用者は軍との関係を利用して賃金未払いや強制労働を強要、労使協議に無関係の軍関係者が同席。
  • 現行労働法は軍事政権から文民政権への移行時に制定した形式的なもので、労働組合の設立や活動が厳しく制限されており、更なる改正が必要。
  • 国家公務員には労働法が適用されないため改正が必要。

4.労働組合としての新型コロナウイルス対策

 現在、新型コロナウイルスのためのワクチン接種は国民の約3割に留まっており、先進国の協力による更なる接種の推進が必須となっている。地域格差や国民の意識も薄く低所得者層には経済的負担も重く進展が困難。また、コロナに関する情報が不足しており危険性が浸透していない。軍による酸素吸入器などの医療器具も管理下にあるため、国民には必要な治療が施されていない。そのため、CDM参加組織やNGO・慈善団体と労働組合が協力して、出来る範囲のコロナ対策を実施している。