2021年 ベラルーシの労働事情

2021年6月25日 報告

 本報告は2021年6月21日~25日にJILAFが実施した招へいオンラインプログラム(ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシ)における、ベラルーシの参加者から報告された「ベラルーシの労働事情」および、同提出関連資料に基づいて作成した。なお、本プログラムにはベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)から2名が参加した。

基本情報

 旧ソ連崩壊以降、各国が資本主義的生産関係に移行する中、旧ソ連型の経済構造を頑なに守っているのがベラルーシであると言われている。しかし内部では闇経済がはびこり、当局も税収に影響するため取り締まりを強めてきた。
 ベラルーシが、旧ソ連型経済を相当引っ張っていると言う点で、労働者の大多数が組合に入っていることが挙げられる。しかしその受け皿は体制側の組合(FPB)である。これに対し、鉱山、金属コンビナートなど4労組が民主労働組合会議(BKDP)を結成している。BKDPの中心組合は鉱山労組だが、この組合の結成は1993年、ソ連炭鉱労組(1985~1991年)の流れを継いでいる。昨年労使関係の規律の強化に関する大統領令29号(ベラルーシの労働者の大多数を1年ごとの契約労働者に替えるもの)が労働法になった。「大統領令29号が労働法に組み込まれることによって、今後は短期契約システムに対する闘いとなる」とのことだった。現状は、短期契約システムはさらに強化され、その中で労働者は退職を迫られるリスクを覚悟で闘っている。

〇ルカシェンコ大統領の退陣要求運動について

 2020年8月9日の大統領選挙は、現職ルカシェンコ大統領の勝利と発表されたが、反対派はそれを認めず、大衆運動が開始された。現在毎週日曜日には集会とデモが開催されたが、警察や治安組織は暴力でこれを弾圧した。大衆運動は、調整委員会の結成に至るが、指導者は国外脱出を余儀なくされ、運動の規模は縮小している。今年5月反体制派指導者を載せた飛行機を強制着陸させたというニュースがあったが、当局の弾圧は徹底している。労働運動もこれと連動している。雇用者数492万人、この中で民主労働組合会議(BKDP)の規模は、2008年9000人、昨年は1万2000人を上回ったが、その後は漸減しているという。
 これに対し、体制側のナショナルセンターには400万人が加盟しているそうだ。今回参加者から職場の運動をレポートした報告が提出されたが、そこでは1年ごとの短期契約システムの中、労働者は職場にいるか、退職するかの二者択一を迫られる状況が良く描かれていた。「殺されるわけではないが、組合活動には大きなリスクがある」と参加者は語っていた。労働基本権はおろか、雇用の権利さえ脅かされているのがベラルーシの実態である。
 昨年、IT企業に組合が結成されたというニュースもあったが、これも登録が拒否され、組合側は昨年11月裁判所に提起し、それ以来事態は進んでいない。
 こうした状況にあって、独立労組に入った人のチェックと、体制側組合を止めた人のチェックが進んでいると言う。今後は教育活動を強化し、新しい活動家を育て、オルグを育てる。さらに国際分野でもあらゆる機会をとらえてベラルーシで起こっている問題をアピールしていくと語られた。