2019年 タンザニアの労働事情

2019年8月29日 講演録

タンザニア労働組合会議(TUCTA)
フランク ジョン チャラミア(Mr. Frank John Chalamila)
タンザニア労働組合会議(TUCTA)教育トレーニング長

 

1.労働情勢

 実質GDP(対前年増減率)は、2018年が7.0%であった。
 インフレ率は、2018年が3.4%であった。
 タンザニアの最低賃金は公共部門と民間部門で異なっており、公共部門における最低賃金は、下表のとおり月額で350,000タンザニア・シリングである。これは日本円換算で16,000円位に相当するが、民間部門の最低賃金は非常に低く、同様に日本円換算では月額4,000円相当と低い。
 失業率は、2018年が13%であった。

  2017年 2018年 2019年(見通し)
実質GDP(%) 6.9 7.0 7.1
物価上昇率(%) 4.0 3.4 3.1
最低賃金(月額)
[公共部門]
350,000 Tsh 350,000 Tsh 350,000 Tsh
失業率(%) 17 13 10.1
〔為替レート〕2,350タンザニア・シリング(Tsh)=1ドル(2019年8月1日現在)

2.タンザニアの労働法制と社会保障制度

(1)労働法制

 公務員と民間セクターに適用される「雇用労使関係法第6号」(2004年制定)と公務員だけに適用される「公務員法第8号」(2002年制定)の2つの枠組みがあり、この2つの労働法制に定められている基本事項として、まず、労働者の基本的権利とその保護、団結の自由、結社の自由、効果的で公正な労使関係、そして、最低賃金と労働条件、などが定められている。

(2)社会保障制度

 社会保障制度は次の3つに区分できる。

  1. ①年金制度
     公的年金制度は公務員と民間企業労働者の2つのスキームに分かれ、その枠組みは公務員が公務員社会保障基金(PSSF)、民間企業労働者が全国社会保障基金(NSSF)である。拠出金は使用者が15%、労働者が10%で、受給は退職後に50%を一時金で、残りの50%を毎月受け取ることになる。
  2. ②健康保険
     健康保険は国民が保険料を支払うことになり、その適用は労働者だけでなくタンザニア国民全てがカバーされる。
  3. ③労働者補償基金
      労災などの際に労働者に補償金が支給される仕組みである。

3.労働組合が直面している課題と取り組み

  1. 非正規雇用、インフォーマルセクターの労働者をめぐる課題
     マグフリ大統領は、第5次政権における政策として、2025年までにタンザニアを工業国そして中所得国にするという目標を掲げている。これが実現すれば、雇用の増加などが期待できると考えている。
     しかし、現在タンザニアでは2,000万人近くがインフォーマルセクターで働いている実態だ。これに対して、フォーマルセクターで働いている労働者は、概ねその5分の1の400万人にすぎない。
     私達は、各種セミナーを開催するなど、インフォーマルセクターをフォーマル化するための具体的取り組みを行っている。こうした取り組みの中で、約9,000人のインフォーマルな店舗などで働く労働者を組織化することにも成功している。
  2. 労働組合組織の現状
     タンザニア労働組合会議(TUCTA)は、タンザニアで唯一のナショナルセンターである。加盟組織は13組織(公務部門4組織、民間部門9組織)で、組合員数は85万人となっている。しかし、タンザニアの人口が5,400万人いることを考えると、労働組合の組織率はきわめて低いということが分かる。労働組合組織率は他のアフリカ諸国と比べても非常に低いといえる。組織化の促進が重要な課題だ。
  3. タンザニアの労働者にとって、大きな問題の一つは税金(源泉課税)に関わることである。労働者が毎月の賃金から控除される税金の税率があまりにもアンバランスでかつアンフェアな実態にある。個人によって9~35%位まで広く分布している。税率が一桁(9%)の対象者は最低賃金レベルで働く労働者のみだ。タンザニア労働組合会議(TUCTA)は、上限を18%まで引き下げるよう主張し、今、政府と交渉を行っている。