2021年 ケニアの労働事情

2021年10月8日 報告

 本報告はCOVID-19パンデミック禍で、2021年10月4日~8日にJILAFが実施した「オンライン・スタディ・プログラム」〔アフリカ英語圏チーム〕における参加者および参加者が所属するナショナルセンターから提出して頂いた各国の「労働事情報告」と本プログラムの中で実施した「JILAFによる労働事情収集」(上記「労働事情報告」に対するヒアリング)に基づいて作成した。
 本プログラムには、ケニア労働組合中央組織〔COTU(K)〕より下記の2名が参加した。

〔ケニア労働組合中央組織(COTU(K)〕

クリフトン チエン サヤ(Mr. Cliffton Ochieng Saya)
ケニア労働組合中央組織〔COTU(K)〕法務局局員
ジャクリーン ニヤンビ キベ カマウ(Ms. Jacqueline Niambi Kibe Kamau)
ケニア労働組合中央組織〔COTU(K)〕事務局長秘書
 

【新型コロナウイルス感染症パンデミック禍の労働事情】

1.ケニア労働組合中央組織〔COTU(K)〕について

 ケニア労働組合中央組織〔COTU(K)〕は、1965年に設立された。現在、45の労働組合、400万人以上の組合員で構成されている。以下の主な基本方針を掲げて活動を行っている。

  • 組合組織の強化
  • 労働者教育の推進
  • 適切な雇用・労働市場政策および法整備をめざすロビー活動および啓蒙活動
  • 地域および国際的な労働組合組織やその他の労働支援機関との連帯、パートナーシップおよびネットワークの構築

 また国内では、ケニア労働組合中央組織〔COTU(K)〕と政府の労働社会保護省、およびケニア雇用者連盟(FKE)で構成されるいわゆる政労使による三者間パートナーシップの枠組みがあり、ここでは次の目的に沿って緊密に連携した取り組みが行われている。

  • 国内外全ての労働者の社会的・経済的・政治的状況を改善する
  • 労使間の良好な関係構築および保全に関する原則を奨励する
  • 労働組合(組合員)と使用者との間の紛争、二つ以上の労働組合間の紛争の解決(調停)
  • 労働及び雇用に関する政策及び立法機関において、十分かつ効果的な代表権を確保する

2.ケニアにおける労働法制と最近の雇用・労働をめぐる状況

(1)ケニアの労働法制

 ケニアの労働法制には、2007年雇用法、2007年労働関係法、2007年労働機関法、2007年職業安全衛生法、国家雇用局法、退職手当法、2007年労働災害手当法、2011年雇用・労働関係法がある。
 また、ケニアでは憲法の規定により、労働市場の利害関係者の利益のために、国際的に適合する労働規定、特にILOの条約や勧告を享受することができる。

(2)最近の雇用・労働をめぐる状況

 ケニアの労働をめぐる状況は、何年もの間、堅調に推移していたが、新型コロナウイルス感染症パンデミックにより、長年かけて達成してきた成果がすべて失われてしまった。パンデミックは経済に大きな打撃を与え、そのため、労働環境は悪影響を受けており、雇用の縮小・過剰雇用などの形で多くの労働者が職を失っている。
 こうした状況下で、新型コロナウイルの蔓延が当面収束しないという不測の事態を念頭に置きつつ、これ以上の大量の失業を防ぐために労働組合も加わった三者会合が開催され、対策協議を進めている。

3.ケニアにおける労使紛争解決システム

 ケニアでは、労使紛争解決のための手続き、基準、仕組みが関連する労働法、特に2007年雇用法および2007年労働関係法に基づいて定められている。
 その仕組みを概括すると、第1段階として、現場レベルで紛争が発生した場合、労使双方により企業内で組織された懲戒委員会を通じて、企業内で解決にあたることになる。ここで友好的な解決策が得られない場合は、第2段階として所属する労働組合の支部および本部が対応したうえで労働省に持ち込んで調停を行う。労使紛争がこの調停レベルでも解決できない場合は、雇用関係裁判所に提訴し、以降、裁判手続きの形態となる。