2021年 ナイジェリアの労働事情

2021年10月8日 報告

 本報告はCOVID-19パンデミック禍で、2021年10月4日~8日にJILAFが実施した「オンライン・スタディ・プログラム」〔アフリカ英語圏チーム〕における参加者および参加者が所属するナショナルセンターから提出して頂いた各国の「労働事情報告」と本プログラムの中で実施した「JILAFによる労働事情収集」(上記「労働事情報告」に対するヒアリング)に基づいて作成した。なお、各国の労働事情は、「コロナ禍における最近の労使紛争とその取り組み事例」を主テーマとした。
 本プログラムには、ナイジェリア労働会議(NLC)より下記の2名が参加した。

〔ナイジェリア労働会議(NLC)〕

イスマイル アデウニ ベロ(Mr. Ismail Adewuni Bello)
ナイジェリア労働会議(NLC)副事務局長
クリスチャン ンディディ オモネ(Mr. Christian Ndidi Omoneh)
ナイジェリア労働会議(NLC)事務局次長
 

1.最近の労働情勢

 COVID-19パンデミックによって国内の経済・社会状況は極めて悪化している。非常に多くの労働者が職を失っている。一方、多くの企業が廃業や事業の一部閉鎖に追い込まれており、人の接触の少ない新しいビジネス(ヒューマン・インターフェース)を模索する企業も現れてきている。こうした企業の動向に失業者は絶望感を覚えている。当面消えることのないパンデミックとの闘いは、困難を増すものとなっている。

2.最近の労使紛争事例

【産業別労働組合における特定企業の組織化をめぐる労使紛争(事例)】

(1)労使紛争の要因と経過

 紛争のきっかけは、産業別労働組合による労働者の組織化とその手続きを使用者側が拒否したことによる。使用者側は、組織化に伴う手続・労使合意交渉や雇用条件の共同策定を拒否してきた。この企業では、こうした組織化手続きをめぐる問題以外にも、次のような不当な行為が指摘される。

  • 労働法に反する労働者の無差別解雇の問題
  • 給与から控除する年金拠出金を年金基金に送金していないといった問題
  • 残業手当の不払いと長時間労働をめぐる問題
  • 女性労働者に対する経営者のセクシュアルハラスメントをめぐる問題

 労働者側は労働組合のナショナルセンターやメディア等にも働きかけ、一般市民に対しても理解と共感を得るよう努めた。これに対して使用者側は労使合意の根拠を何ら示すことなく「労働者の要求に同意している」と主張し続けた。
 こうして、労使間の交渉は第三者の介入もないまま完全に決裂したのである。

(2)労使の主な主張

 労働者側は、「使用者側が労働法を遵守し労働組合の組織化を認めるとともに、この組織された労働組合が企業における労使関係の決定に参加することを認めなければならない。そして、職場は民主的でなければならない」と主張した。
 これに対して、使用者側は労働者側の要求した事項は既に実施されていると主張し続けるものの、その労使合意を裏付ける「手続き協約」や雇用条件に関する証拠を示してこなかった。

(3)紛争解決に向けた取り組みとその結果

 労働組合は当該企業の労働者を組織化し、企業内に組合支部を設置、雇用条件や手続きに関する協約交渉など、労使紛争を取り巻くあらゆる問題解決のための合同委員会を
設立した。当該企業労働者の志気も高まり、こうした中、使用者側も驚くほど企業の生産性も増した。
 使用者側は、企業経営において労働組合のパートナーシップが必要なことを改めて認識した。その結果、現在では定期的に労使協議が行われるまでに至った。
 こうして、この企業における労使紛争は円満に解決した。

3.ナイジェリア労働会議(NLC)のCOVID-19感染防止対策

 国のロックダウンの前にナイジェリア労働会議(NLC)は、全労働者に感染予防に関するアドバイスを行っている。具体的には、加盟組織を対象に感染対策の手順(プロトコル)に関するニュースレターを作成した。
 なお、取り組みにあたりナイジェリア疾病予防センター(NCDC)が公表する感染情報を常に意識しつつ、次のような対策を行っている。
また、組織化されている民間セクターの金融部門をはじめとするCOVID-19パンデミック後に想定されるレイオフへの反対大規模キャンペーンも行っている。

  • ナイジェリア労働会議(NLC)の全職員向けのマスクを作成した。
  • 労働組合業務はプロトコルに従い、必要不可欠なものに限定したうえで、勤務人数を削減(全職員の勤務予定を交替勤務制)した。
  • 各地域の各オフィス用に消毒剤を調達した。
  • 2020メーデーなどあらゆる形式での人の集まりを中止した。
  • ナイジェリア労働会議(NLC)全職員へのワクチン接種の奨励を行った。