2018年 ナイジェリアの労働事情

2018年10月25日 講演録

ナイジェリア労働会議(NLC)
ハナ ファンミロラ ファサン(Ms. Hannah Funmilola Fasan)
ナイジェリア海上労働者組合 副会長
カビル アド サニ(Mr. Kabiru Ado Sani)
ナイジェリア医療労働者労働組合 州会長
ハウワ ダングダ ダンバッタ(Ms. Hauwa Danguda Danbatta)
ナイジェリア教職員組合 執行委員

 

1.労働情勢

 インフレ率は下がってきているものの、2018年の見通しでは11%となっている。
 最低賃金は2011年以降改定されていない状況が今日まで続いている。
 失業率は年々上昇しており、2018年の見通しでは18.8%にも及んでいる。

  2016年 2017年 2018年(見通し)
実質GDP(%)
(出典元)

(世界銀行)
0.8
(世界銀行)
△3.6
(世界銀行)
物価上昇率(%)
(出典元)
16.01
(国家統計局)
15.91
(国家統計局)
11.14
(国家統計局)
最低賃金
(時間額・日額・月額)
(出典元)
18,000ナイラ
(2010年改定)
(2010年最低賃金法)
18,000ナイラ
(2010年改定)
(2010年最低賃金法)
18,000ナイラ
(2010年改定)
(2010年最低賃金法)
労使紛争件数
(出典元)
データなし
216
(ウクライナ
国立調停和解局)
データなし
失業率
(出典元)
13.9
(国家統計局)
16.2%
(国家統計局)
18.8
(国家統計局)
通貨名:ナイラ  361ナイラ=約1米ドル(2018年11月6日現在)

2.ナイジェリアの社会保障制度

 ナイジェリアの社会保障制度を概括すると次のようになっている。

  1. 従業員災害補償法
     労働者が職場の内外で負った傷病について補償することを目的とした制度である。
  2. 年金制度の改革
     年金制度は、2004年と2010年に従来の主に民間セクターを対象とした「ナイジェリア社会保険信託基金」や他の公的年金制度の不備を補う形で包括的な改革法として改正された。この新しい枠組みの中で、年金基金の管理は民間に委託され、年金制度や年金基金を監督する国家年金委員会が新たに設立された。

3.労働組合が直面している課題とその解決に向けた取り組み

(1)労働組合が直面している課題

  1. 最低賃金の改定をめぐる問題
     法では最低賃金の改定は5年に1回改定されることになっているが、現行の最低賃金額は前回の改定後5年経過しても以降全く改定されないまま、既に有効期限(改定すべき年)を2年以上超過している。(上記「1.労働情勢」に記載の表参照)
  2. 公共セクターにおける労働者の権利をめぐる問題
     ナイジェリアでは、労働者の権利が使用者によって大きく損なわれている。
     公共部門では労働者の権利が阻害されており、女性の公務員の場合、例えば妊娠や出産に関する保護が欠落している状態にある。特にサービス部門、電信電話通信セクターで状況が悪化している。事例を挙げると、ナイジェリアの大手通信事業会社(MTN)では労働者が団結する結社の自由が認められておらず、賃金未払いのまま労働者を解雇するといったことが日常的に行われている。
     この他に、ナイジェリアの36ある州全てで公務員の賃金未払い問題が起こっている。カドゥナ州では2万2千人の公立学校の教師が、何の補償もないまま突然解雇されている。

(2)課題の解決に向けた労働組合の取り組み

  1. 最低賃金の改定に向けた取り組み
     ナイジェリア労働会議(NLC)は、政府に対して56,000ナイラ(現行は18,000ナイラ)の最低賃金改定要求を出して交渉しているが進展がみられていない。最近2日間の警告ストを行ったが、いまだに政府からの回答が出ていない状況だ。
  2. 労働者の権利確保に向けた取り組み
     ナイジェリア労働会議(NLC)は、大手通信事業会社(MTN)の本社・各支所の前で今年7月に1週間のピケを張った。その結果、一連の対話が行われるといった成果が出ているものの、現在まだ話し合いが続いている状況だ。
     また、我々は2万2千人の公立学校の教師が不当に解雇されたカドゥナ州に対して労働法違反として国家労働裁判所に訴訟を起こしている。同時に、カドゥナ州内で様々な抗議集会が行われ、職場復帰に向けた取り組みが展開されている。