2021年 ガーナの労働事情

2021年10月8日 報告

 本報告はCOVID-19パンデミック禍で、2021年10月4日~8日にJILAFが実施した「オンライン・スタディ・プログラム」〔アフリカ英語圏チーム〕における参加者および参加者が所属するナショナルセンターから提出して頂いた各国の「労働事情報告」と本プログラムの中で実施した「JILAFによる労働事情収集」(上記「労働事情報告」に対するヒアリング)に基づいて作成した。なお、各国の労働事情は、「コロナ禍における最近の労使紛争とその取り組み事例」を主テーマとした。
 本プログラムには、ガーナ労働組合会議(GTUC)より下記の1名が参加した。

〔ガーナ労働組合会議(GTUC)〕

デニス ヨー アトゥウォ(Mr. Dennis Yaw Atuwo)
保健サービス労働組合兼GTUC中央評議会・ユース評議会議長
 

【ガーナにおける労使紛争とその解決に向けた取り組み事例】

1.最近の労働情勢(労使関係の動向)

 共和制確立後、第8代大統領が就任し4年目を迎えたが、ガーナでは労働組合の結成と労働組合活動が保障されており、労働争議も少なく、労使関係はかなり安定しているといえる。今年上半期の労使紛争は次項で紹介するが、いずれもコロナ禍を背景とした単発的なものである。総じて労働者はCOVID-19パンデミックによる影響からの回復に努めており、今後、労働組合、政府、その他のステークホルダーによる社会的共同がさらに深まるであろう。

2.最近の労使紛争事例

(1)公立大学上級職員による抗議行動

 公立大学上級職員(非教員)の賃金と労働条件をめぐる労使紛争が起こっている。労働者側(上級労働組合連合会)の主な主張点は、市場プレミアムと機関別手当の支給ならびに勤務条件面での交渉の遅れに関するものである。一方、使用者側は支払い能力上の問題を主に主張している。なお、当初全国労働委員会(労使紛争を扱う政府機関)は、労働組合のストライキ予告に対して事前に差し止め命令を出していたが、ストライキは決行されている。
 その後、この労使紛争は当事者(労使)が公正賃金給与委員会(政府機関)の場で妥結に向けた交渉が展開されているが、現在、抗議行動等は中断されている。

(2)保健医療セクターにおける労使紛争

 この事例は、「ガーナ国立教育病院」(KATH)の検査室長人事をめぐる労使紛争である。この病院では検査室長に医師を就ける人事を行ったが、全国の「ガーナ臨床検査学者連合会」(GAMLS)の所属会員は、検査室長に医師を就けることは科学者である自分たちの能力に対する侮辱行為であると受け止め、「ガーナ国立教育病院」(KATH)の同僚と連帯してストライキを行った。これに対して病院側は、「医師らは施設の管理者として検査室を含むユニット全体の人事権を決定する法的権利を有しており、こうした争議行動は病院の管理権限への挑戦である」と主張、「ガーナ臨床検査学者連合会」(GAMLS)に対峙した。その後、「ガーナ臨床検査学者連合会」(GAMLS)の指導者が議会の保健特別委員会に招致され、このなかで解決に向けた話し合いが進められており、抗議行動は現在中止されている。

(3)公務員の最低賃金および賃金の妥結結果の遅れに対する抗議行動

 公務員における本年の基本給昇給と最低賃金(公務員賃金における最低賃金額)の引き上げの実施が遅れていることに対して労働者側(公務員)は抗議のアジテーションを行った。労働者側(公務員)は、当初政府関係者の行った公告が本年の賃上げゼロの可能性を示唆しているのではないかと危惧し、このことが抗議行動へと繋がったものである。こうした事態の中で、大統領は労働者の不安を和らげ、交渉プロセスを展開するよう指示し、これを受け政府は交渉を開始、本年7月1日に交渉は妥結し解決に至っている。

3.ガーナ労働組合会議(GTUC)のCOVID-19感染防止対策

 ガーナ労働組合会議(GTUC)はCOVID-19感染防止対策として次の取り組みを行っている。

  1. ①手洗いやアルコール除菌ローションを用いた手指消毒の奨励と指導
  2. ②組織内でのマスク着用の義務化
  3. ③ガーナ労働組合会議(GTUC)全職員へのワクチン接種の奨励
  4. ④インフォーマル労働組合連合会(GTUC構成組織)によるインフォーマル経済部門組合員へのCOVID-19用PPE(マスク等個人用防護具)の供給

〔※ちなみにガーナにおけるインフォーマル労働者は非常に多い。上記「インフォーマル労働組合連合会」は設立してから日が浅いが、多くの会員が加入している。会員には、露天商、俳優やミュージシャンなどの芸術家も含まれる〕