6月23~7月6日の日程で、タイ・インドネシアチームを招聘した。タイからはITUCタイ協議会(ITUC-TC)に加盟している4組織から4人(うち女性1人)が、インドネシアからは3つのナショナルセンターから5人(うち女性2人)が参加し、合計9人のチームとなった。
近年、急速に発展しているASEAN諸国であるが、中でも目覚ましい成長を見せるこの両国は、多くの日系企業が進出しているなど経済社会状況は比較的近い。それゆえ両国が抱えている課題と、それに対する取り組みについても一致する部分は多く、両国の参加者は互いに認識を共有しながら、プログラムの中にその解決策を求めていた。
プログラム全般を通じて、企業別労働組合、産業別労働組合、ナショナルセンターという各レベルでの労働組合の役割に、参加者の関心は集まっていた。日本においては、各レベルの労働組合が合理的に関連し合い、機能していることを高く評価していた。組織を拡大し、団結を強化し、労働組合の社会的プレゼンスを高めていくためには、各々のレベルの労働組合が役割を果たし、相互に補完し合う必要がある。そうすることによってこそ労働組合の力を最大限に発揮させることができることを、日本の労働組合のシステムから学び取っていた。
産別からの講義として、JEC連合から組織概要と活動について説明を受けた。政策立案にあたっては、労働者側の目標を具体化させるため、使用者、行政、政党、議員などあらゆる方面に働きかけを行なうことが産別にとって非常に大切であると強調された。
連合北海道プログラムでは、連合北海道の組織活動や北海道の労働事情についての説明を受けた。自国の地方組織と関連づけながら説明を聞くことで、地方連合会に対する理解を深めた。また、ハローワーク札幌を訪問し、職業紹介現場を視察すると共に、雇用保険制度についても熱心に学んだ。また日糧製パン(株)を訪問し、事業所内の労働組合の活動や労働協約などについての意見交換を行ない、製造現場の視察を行なった。
プログラムの後半では日本生産性本部、経団連、労金協会からそれぞれ講義を受けた。生産性運動の考え方、経営者側から見た労使関係、労働者相互扶助の仕組みなどについて説明を聞き、日本の労働事情に対する理解を一層深めることができた。
最終日には、参加者から「企業別組合、産別、ナショナルセンター、それぞれの機能強化と役割分担の仕組みを構築する」「年金制度、雇用保険制度の導入を図る」「法律違反に対する労働基準監督官の取り締まり強化を政府に働きかける」「労働金庫のような機関を設立する」などのアクションプランが出された。