タイの日本米プロジェクト~コンケンを⾼品質⽇本⽶の産地に~

SGRA(インフォーマルセクター労働者への草の根支援事業)

 JILAFタイ事務所は、タイSGRAの東北部の代表として2014年度からコンケンの米農家グループ(30名)の支援をしています。
 これまでに、社会保険の加入や有機米の促進、貯蓄基金の設立等を通して、セーフティーネットの構築と相互扶助制度の強化を進めてきました。2017年度にはタイ国内で初の火災共済(火災時見舞金的なもの)の設立による相互扶助の強化や市役所の協力(市役所施設や農地の無償提供)を得て自立化を推進しました。
 SGRA事業について、民間企業にも紹介を進めてきたところ、2018年度に(株)アドヴォネクスト社・井上社長より日本米栽培の企画を提案いただいたことから、日本米プロジェクトは動き出しました。本プロジェクトは、JILAF以外に日本の民間企業(アドヴォネクスト社、OBULI CO.,LTD.)や現地のラムナムポン市役所、コンケン大学農学部と協力しながら進めています。
 実際に栽培を始めたのは2019年度からで、まずはトライアルとして、2ライ(1ライは1,600㎡)の圃場を3区画に分けて、それぞれ別の肥料を使って日本米の比較栽培を始めました。7月に栽培圃場の選定、12月に土つくり、種まき、1月に田植え、2020年度4月に稲刈り、はざかけ(乾燥)、脱穀、精米を行いました。
 今後は日本の民間企業から資金的な援助も頂きながら更なる日本米の品質向上、生産量の拡大に取り組み、将来的には同メンバー全員はもちろん、近隣の米農家、タイの他の地域や他国SGRAメンバーの利益にもなるような事業の展開を展望しています。

〇なぜ日本米なのか?
 日本の食市場が縮小する一方で、世界の食市場は、消費市場の拡大や新興国を中心とした富裕層の増加などにより、340兆円(2009年)から680兆円(2020年)に倍増することが予想されています。なかでも、中国やインドなどを含むアジアでは、約82兆円(2009年)から229兆円(2020年)へ約3倍の大幅増が見込まれています。*1
 また、世界の「日本食レストラン」の数も5.5万店(2013年)から15.6万店(2019年)と6年間で約3倍、特にアジア地域においては2017年から2年間で1.5倍の大幅増となるなど*2、高品質な日本米への需要が定着し、今後更に、需要は増えていくと予想されます。その流れの中、全世界で日本米生産に向けた動きは加速しており、すでに、東南アジアやアメリカ、ヨーロッパでも日本米の生産が始まっています。
 需要増の世界の動きに加え、コンケンを高品質な日本米生産地としてブランド確立させることで、農業従事者の所得向上につながることを期待しています。

*1:農林水産省による「農林水産省の紹介(2015年10月)」
*2:農林水産省による「海外における日本食レストラン数の調査結果(令和元年)」

〇これからの課題
 今後の展開として、下記の4つが当面の課題です。
1.販路の確保
2.品質の改善による、より高品質で高価格の日本米生産の実現
3.その高品質を横展開、同グループのSGRAメンバーに広げる
4.生産量拡大に伴う機械化、品質の安定化

これらが実現できた後には、タイ国内の他のSGRAメンバーへの展開、さらに他国のSGRAメンバーへの展開へ繋げることができると考えています。
 2020年度については、まずは1.販路の確保、2.品質の改善による、より高品質で高価格の日本米生産の実現、に向けて関係各者とのミーティングや、バンコクにおける仲介業者や日本食レストランへの売り込みを進めています。
 本プロジェクトをはじめとするSGRA事業は、民間企業も含めた多くの皆様のご協力によって支えられています。ご賛同いただける皆様にお力添えをいただきながら、さらなる展開に向けて事業を進めていきます。

参加者の様子

現地ラムナムポン市長を交えてのミーティング

苗床の確認

コンケン大学農学部とのミーティング

稲刈り

脱穀

精米したての白米