ネパール労使関係・労働政策(IR)セミナーを開催

開会式での齋藤事務長挨拶

12月4日~5日、国際労働財団(JILAF)は、国際労働組合総連合ネパール加盟組織協議会(ITUC-NAC:ネパール労働組合会議(NTUC)・ネパール労働組合総連盟(GEFONT)・ネパール労働組合連盟(ANTUF))との共催で、カトマンズ市で労使関係・労働政策セミナーを開催しました。
セミナーにはITUC-NAC傘下組合役員・リーダー62名が参加し、開会式ではチャンドラ・ダカール使用者連盟(FNCCI)副会頭、ビノッド・ケーシー労働雇用社会保障省(MOLESS)事務次官、各ナショナルセンター代表がそれぞれ挨拶し、日本政府及びJILAFの継続的支援・協力に感謝の意を表しました。
齋藤JILAF事務長は主催者を代表して、ネパールにおけるITUC加盟3組織が一堂に会する本セミナーの意義に触れ、開催準備に奔走した全ての関係者に敬意を表しました。その上で、国連SDGsゴール8にも貢献する、建設的労使関係の構築を通じた無用な労使紛争の回避や雇用安定をめざすIRセミナーの趣旨等を概説しました。
また、西郷在ネパール日本国大使館特命全権大使は、JILAFが30年間にわたりネパールで積み上げてきた経験や知見、各種事業の持続的展開は、人々の暮らしや社会経済の発展に大きく貢献しており、深甚なる敬意を払いたいとした上で、「今年、ネパールへの投資や進出を検討している日系企業の相談件数が95社にのぼった。労使関係の健全化は、これからネパールへの進出を考えている日系企業にとっても非常に重要であり、2日間のIRセミナーに期待したい」と挨拶されました。
続いてJILAF齋藤事務長が、日本とネパールの外国人材受け入れに関する協力覚書の締結(2019年3月および10月)などにより二国間関係がさらに強固になっている状況下、「南アジア諸国と中国の間に地勢するネパールの持続的発展は、地域全体の平和と安定のみならず、日本にとっても重要」とした上で、日本の労使が長年かけて培ってきた日本モデル:労使信頼関係に基づく交渉での対立と労使協議での協力を通じ、職場の課題等を労使対等・自治に基づき解決していく「建設的労使関係を通じた無用な労使紛争の未然防止と雇用安定」を主眼とする講義を行いました。
2日目については、ケーシーNTUC副事務局長から「新労働法のもとでの団体交渉と労使対話」および「ネパールにおける労使関係と労働組合の役割」、「ネパールにおける社会保障の課題(使用者側の健康保険等負担金20%に対する強い抵抗、社会保障基金制度への低加入状況、在ネパール・インド人労働者やインフォーマルセクター労働者の加入不可等)」、マヘンドラ・ヤダフNTUC筆頭副会長から「社会対話の重要性」に関する講義がありました。とりわけケーシーNTUC副事務局長は、欧米型の産業別労使関係とは異なる企業別労使関係を基本とした日本的労使関係への賛意と共に、生産性向上への貢献を通じた労使信頼関係の構築と、それを基底とした労使Win−Winの関係構築の必要性を改めて強調されました。
その後、参加者は「ネパールにおける労使関係を如何に良くしていくか、社会保障法の実効ある取り組みを通じ、労働者と国民を如何に守っていくか」をテーマに、アクションプランを策定しました。
全体発表では、「お互いを尊重する姿勢から生まれる、敵対的ではない労使信頼関係の構築が重要」、「社会保障法の着実な履行にあたっては、政労使それぞれの責任と役割を全うしていくことが何よりも重要」との共通認識に加え、①使用者側の労働組合や労働者全般に対する意識改革の必要性(労働は商品ではない:Labour is not a commodity)、②女性へのハラスメントや強制労働の禁止、③インフォーマルセクターおよびアウトソーシング労働者の保護、④使用者の最低賃金(13,450ルピー/月、517ルピー/日)遵守の必要性などが提起され、会場全体で論議しました。
閉会式において齋藤JILAF事務長は、参加者の熱意を持った参画に感謝した上で、「ネパールが様々な課題や困難を乗り越え、労働者・国民にとってさらに良い国となるようJILAFも協調して取り組んでいきたい」と発言し、2日間に亘るセミナーを終了しました。

日程

月日内容
12月04日12/04セミナー1日目(会場:カトマンズ)
12月05日12/05セミナー2日目(会場:カトマンズ)
12月06日12/06写真2:写真3:写真4:写真5:

参加者の様子

西郷大使挨拶

参加者集合写真

JILAF講義「日本の労働組合の課題と役割」

グループディスカッションの様子

グループディスカッション発表の様子