国際労働財団(JILAF)は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の支援を受ける「タイの職場におけるHIV/AIDSトレーナー育成プロジェクト フェーズ3」、1期生最終評価セミナー(7月8~9日)と2期生のスキルアップセミナー(7月10~11日)をタイ・サムットプラカーン県で開き、50人が参加した。
このプロジェクトは、職場の労働組合リーダーを対象にHIV/AIDSの問題を学び、基礎知識を取得後、正しい知識を職場・地域に伝え偏見を取り去ることのできるトレーナーを育成することを目的としている。
1期生最終評価セミナー(7月8~9日)
1期生最終評価セミナーには、ITUC-TC加盟組合の労働組合リーダー30人が参加した。はじめにITUC-TC・タウィ会長は、「3年間のプロジェクトを通して正しい知識が職場やコミュニティに広がり、大きな社会貢献につながっている。今後もセミナー参加者が継続して活動を展開することで、わが国のHIV/AIDS問題の解決につながることを期待する」とあいさつ。
セミナーは、[1]各参加者から労使対話・コミュニティセミナーの実施報告 [2]JILAF・高橋専務から労働組合の役割に重点を置いた「東日本大震災における労働組合の役割」の講義[3]東京大学・神馬教授から「HIV/AIDSと結核」の講義[4]総括・最終アンケート――などで構成。参加者からは、「今後も継続してコミュニティセミナーや職場でのセミナーを開催したい」「多くの労働組合が、このHIV/AIDS問題に取り組むよう積極的に活動していきたい」などの感想が聞かれた。
2期生スキルアップセミナー(7月10~11日)
2期生のスキルアップを目的としたセミナーを開き、20人が参加した。主催者を代表してJILAF・高橋専務理事は「職場のHIV/AIDS問題は労働組合だけでは解決できない問題だ。経営側との協力が必要不可欠であり、職場の感染者が安心して働ける環境づくりが重要である」とあいさつ。
セミナーは、 [1]各ナショナルセンターから労使対話・コミュニティセミナーの実施状況報告[2]HIV/AIDSについての労使協議、模擬労使協議の講義[3]参加者によるコミュニティセミナー実施のアクションプラン作成 [4] ASO (タイ政府による、HIV/AIDSへ正しい取り組みを行なう企業への認証制度)のオーディターになるための方法の講義――などで構成。
労使協議・模擬労使協議のセッションでは、経営側がHIV陽性者に対して、休業を命じた状況を想定しての模擬労使協議を行なった。JILAF専門家の東京大学・神馬教授は「主観的に経営側に訴えかけるのではなく、HIV/AIDSの正しい知識を伝えながら、相手を説得する協調的な姿勢が重要である」と強調した。
フェーズ1~3と実施してきたこのプロジェクトも今回のセミナーで終了となる。職場セミナーやコミュニティセミナーを通してタイの多くの人たちにHIV/AIDSの正しい知識を広めることができたことは大きな成果である。今後は、トレーナーたちの自主的な活動を期待したい。
月日 | 内容 | |
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07月08日 | 金 | 1期生最終評価セミナー1日目 |
07月09日 | 土 | 1期生最終評価セミナー2日目 |
07月10日 | 日 | 2期生スキルアップセミナー1日目 |
07月11日 | 月 | 2期生スキルアップセミナー2日目 |