ネパールITUC‐NAC労使関係・労働政策(IR)セミナー

2017年12月9日~10日にネパール・カトマンズにて労使関係・労働政策(IR)セミナーを開催した。

開会式冒頭、ILOカトマンズ事務所代表、使用者連盟(FNCCI)副会頭、労働雇用省事務次官、各ナショナルセンター代表がそれぞれ挨拶し、JILAFおよび日本国政府の継続的支援・協力に感謝の意を表した。

次に、日本国政府を代表して小川在ネパール特命全権大使は、堀井巌外務大臣政務官を筆頭とした選挙監視団を派遣した連邦議会選挙等(12月7日)が概ね自由で公正且つ民主的に透明性を持って実施されたことを歓迎した。

その後、主催者を代表して南雲理事長は、ネパールにおけるITUC加盟三組織が一同に介する形で開催される今次セミナーの意義等に触れ、建設的労使関係の構築を通じた雇用安定の取り組み等に向け参加者を後押しした。

齋藤副事務長より「建設的労使関係と日本の労働運動」を主眼とする講義を行ない、

①日本の労使関係の変遷
②日本の労働組合の現状
③労働組合の機能(経済/福祉/政治的機能)と役割
④インフォーマルセクター労働者を含む権利保護および地位向上に向けた労働運動の糾合・結集
⑤職場組合員との信頼強化と労使の当事者意識を持った労働環境改善や雇用安定の取り組み
⑥社会対話の重要性等について共有した。

その上で、「12月7日に実施された連邦議会:275議席(小選挙区165、比例110)、州議会および地方自治体首長選挙が国際的スタンダードに則り民主的に実施された。今後、連邦議会を中心に新たな国づくりが始まる。3ナショナルセンターは思想信条の違いを超え、政治の安定にも貢献頂きたい」と訴えた。

次に、ライ労働雇用省事務次官およびスジャン・ジョジウ労働監督官から「ネパールにおける労使関係」と題するレクチャーがあり、
「天災や政治混乱等により、世界で最も後発な開発途上国から脱しきれないネパールの経済発展に向けては、外資企業の参入が不可欠」と述べ、そのためには、政治的安定に加え、「改正労働法の遵守や労働者による生産性向上への貢献と敵対的労使関係からの脱却が急務」とした。

これに対し、会場から、改正労働法の遵守等に関して、下記の意見・質問等があり、両氏から労働雇用省としての見解の補足があった。

①結社の自由
②男女別賃金格差の是正
③女性やインフォーマルセクター労働者の保護
④使用者の啓発
⑤争議権の適用範囲(警察および軍隊以外)
⑥妊娠等に伴う不当解雇の禁止や児童労働の撲滅
⑦旧カーストに根付いた人権蹂躙
⑧中東・インドへの越境労働者の増加

その後、使用者団体からハンサ・ラム・パンデFNCCI雇用者活動・労使関係局長を講師に迎え、使用者側から捉えたネパールの労使関係および労働法制等を通覧した。

同局長は、電力供給やインフラが不充分であるネパールにおいては、海外投資の促進は依然として困難であり、グルーバル化への対応には依然として課題が山積している旨を共有。

また、第4次産業革命・技術革新の開発途上国への到来は不可避であることから、社会・経済の発展に向けては、使用者側を含む人材開発・育成、労使の相互信頼関係の構築と重畳的連携の必要性を強調した。

その上で、「労働組合は、ストライキ以外の問題提起方法(労使定期協議の設置等)を早急に検討すると同時に、使用者に対し生産性向上に貢献可能とのインパクトを与える必要がある」と締めくくった。

前掲をふまえ、ヨゲンドラNTUC総合財政局長による「労使関係と労働組合」に関する課題提起があった。

その中で、一般的な欧米型労使関係と異なる日本的労使関係・労使慣行への賛意と共に、生産性向上への貢献を通じた労使信頼関係の構築と、それを基底とした建設的労使関係構築の必要性があらためて説かれた。

二日目については、マヘンドラ・ヤダフNTUC事務局長の建設的労使関係および雇用安定に関する課題提起を受け、参加者は5班に分散(各ナショナルセンター混合)し、「建設的労使関係の構築に向けて」および「改正労働法遵守に向けた労働組合の役割」のテーマでグループ討議を行なった。

その後の全体発表では、「お互いを尊重する姿勢からのみ生まれる労使信頼関係の構築が急務」との共通認識に加え、

①定期的な使用者との協議の必要性
②社会対話を通じた各種課題の改善
③誠意と透明性を持った労働組合運営
④使用者および組合員に対する改正労働法内容の啓発
⑤労働者の生活向上に向けた複数ナショナルセンターの連携
などが提起された。

これらを受け齋藤副事務長は、日本の生産性三原則をあらためて共有した上で、
①対話を通じた労使信頼関係の醸成と無用な労使紛争の未然防止
②自由で民主的な労働運動の推進
③労働組合役員の人財育成と労働者の職能開発
などの重要性を補足した。

閉会式において南雲理事長は、創造や変化には時間を要するものの、組織として一つ一つの課題に真摯に向き合い、丁ねいに結果を積み上げていくことの大切さを強調した上で、
①自覚と当事者意識を持った活動の推進
②組織の発展・継承のための人財育成
③国民・労働者のための3ナショナルセンターによる共同行動および結集の重要性などを訴え、二日間に亘るセミナーを終了した。

日程

月日内容
12月09日12/09セミナー1日目
12月10日12/10セミナー2日目