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アルゼンチン・ミレイ政権に対し24時間ゼネスト

2025.04.15掲載

4月10日のワシントン・ポスト及びBBCニュースは「ミレイ大統領の緊縮政策に反対するゼネストが起き、電車や地下鉄、航空、穀物輸送、郵便などの各輸送機関が停止、銀行やガソリンスタンドなどでも業務が停止された。ストライキはアルゼンチン労働総同盟(CGT)による」と報じた。

ミレイ大統領は就任16ヶ月になるが、その間、ハイパーインフレ抑制と財政赤字解消に厳しい緊縮政策を進めている。今回の24時間ストは1週間続く年金退職者のデモに呼応する形で行われたが、月額300ドル程度の政府年金はインフレで価値を失っているのが現状である。ストライキ参加の組合員は車掌、教員、関税職員、ごみ収集、郵便職員等だが、多くの病院では救急だけの対応となった。政府はその損失を8億8,000万ドルに上ると見ている。

それでもストライキへの世論支持は余り高くない。バス運転手は賃上げ交渉と同時期のため交渉優先、タクシーの流しも通常と変わらず、ブエノスアイレスの繁華街ではカフェや衣服店の賑わいも変わらない。
それというのも、11945年以来アルゼンチンを支配してきたペロン党の影響下にある各労働組合が野党でありながら、政府政策には中立の立場を取る。

こうした中で、政府広報は「ストライキは政治的動機によるもので労働者とは関係がない」と呼びかけ、駅の拡声器も「共和国に対する攻撃だ」との声を流し、ミレイ大統領には動ずる色はない。来週訪問の米国ベッセント財務長官との会談を控えて、同財務省が記者発表した「ミレイ大統領は経済不感症であったアルゼンチンを元に戻した。財務長官は大統領の経済改革への国際支援促進に努力する」とした声明に期待を強める。トランプ政権はアルゼンチン伝統の左翼勢力による人気取り垂れ流し政策からの脱却を目指している。

ミレイ政権は政府補助金を削減、価格統制を撤廃、行政官庁を縮小、42,000人の公務員を削減してきた。インフレはかつての200%が60%に減速したものの、緊縮政策は国民生活を直撃し、社会保障や年金なども大きく減額された。
今回のゼネストは特に医療や教育面での支出増加や解雇労働者の復職、賃上げ交渉の再開を要求するものであったが、航空労組は「政府がもたらしたものは公務員へのレイオフの波、貧困率の上昇、そして史上最大の国際債務でっち上げの噂だ」と言明した。

これは先週発表されたIMF(国際通貨基金)による200億ドルの救済援助を指しているが、現在の債務総額は440億ドルに達している。IMFは2001ー2年のアルゼンチンの債務不履行以来、同国の絶望的な通貨切り下げに対処してきたが、数日中に協議を再開する予定にある。アルゼンチンは債務支払へのIMF資金を絶対的に必要としており、厳格な資本規制の撤廃と投資家への信頼回復とが望まれている。

以上