FIFAが国際建設木材労連(BWI)の検査を拒否、度重なる建設現場の過酷労働
3月11日のワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズは「2026年FIFAワールドカップ会場となるメキシコ・スタジアムの建築現場へのBWIの立ち入り検査をFIFA(国際サッカー連盟)が拒否した」と報じた。
会場予定のアズテカ・スタジアムは1966年の開設で、1970年と1986年にもWC会場となったが、2026年WCカップはメキシコ、カナダ、米国の共同開催となり、5試合が開催される。そのため2024年5月から改修工事がすすめられている。
BWIユーソン事務局長によると「BWIが建設労働者の労働環境の検査を求めたところ、FIFAからは『現場労働者には労働組合があり、事故も起きていないことからBWIの必要はない』との回答で、立入検査を拒否された」という。同事務局長は記者会見で「WCは世界規模のものであり、国際ルールと国際基準により運営されねばならない。国際組織のBWIの役割は独立した検査機関として彼らの言い分が真実であるかどうかを見ることだ。メキシコ・US・カナダとの共同検査も交渉したがFIFAは署名せず、危険な建設現場への検査が拒否された」との声明を読み上げた。
これに対しFIFA広報官は「FIFAがスタジアムの改修に関わっているわけではない。しかし理事会は最高の国際労働基準の遵守と各種活動に直接携わる労働者の権利改善に努めている。またメキシコでは建設産業会議所(CMIC)や自治労働組合連合会(CATEM)とも協力して現場の監視に努めている」と述べた。
BWIは以前にもロシアやカタールでのWC建設会場における労働基準違反を指摘してきたが、2022年のカタールについては2015年から移民労働者への人権侵害を指摘しており、FIFAもその責任を認めた。それにもかかわらず、2034年のサウジアラビア開催予定地での強制労働と賃金搾取の黙認が重ねて指摘されている。BWIは世界的労働組合組織で、1,200万人の建設労働者を代表し、オリンピックやWC会場の検査を行っている。
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