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米国新労働長官にチャベスデリマー氏

2025.03.20掲載

3月10日のニューヨーク・タイムズは「上院がトランプ政権から新労働長官に指名されたロリ・チャベスデリマー氏を承認した。彼女は共和党下院議員時代に労働組合強化のための労働組合結成権保護法案(PROアクト)の共同提案者であったため、民主党議員からの賛成とともに共和党議員からは強い反対があった」と報じた。

上院本会議での賛成は67票、反対は32票、またこれに先立つ先月の小委員会での賛否は14対9であったが、共和党議員からの強い反対を受けながらも、民主党主要議員からの賛成を得ての承認であった。共和党議員からの鋭い批判に対して、彼女はPRO法案とは距離を置くことを約束、トランプ政権の政策遂行を誓約した。

これにより新労働長官は職場の安全、賃金規則などの連邦労働法の施行、労働市場データの収集、公表などの業務を遂行することになる。去る11月の選挙で彼女はオレゴン州の議席を失っていたが、チームスター労組のオブライエン会長の強い要請によりトランプ大統領の指名を受けていた。

共和党議員の反対派は労働長官だけでなく、トランプ大統領指名のCIA長官や健康省のロバート・ケネディ氏についても反対している。

なお筆者調べだが、PROアクトは2019年以来、数回にわたり民主党下院のスコット議員(バージニア州)から提案された法案で、従来からの全国労働関係法や労使関係法を修正しながら労働組合結成や団体交渉権の大幅強化を目指した法案で、労働組合反対への強制的企業集会の禁止、従業員の労働組合加入促進、関連企業での賛同ストライキの承認、さらには現在27州で実施されている労働組合加入と組合費納入を従業員の自由意志とする労働権法への制限、労働権侵害企業への罰則強化、被害を受けた従業員への保障などを盛り込んでいる。しかし民主党優勢当時の下院議会では承認されたものの、上院議会での承認は得られていない。