2024年度JILAF国際シンポジウムⅡ「ビジネスと人権~取り組みの加速に向けて各国労使の対応に学ぶ~」
開催地:東京
参加者
105名(来場11名、オンライン88名ほか被招へい者含む)
内容
- 基調講演・パネルディスカッションコーディネーター
藤村 博之 労働政策研究・研修機構(JILPT)理事長
- 各国報告・パネルディスカッション参加組織
(労働者側)
オーストラリア労働組合評議会(ACTU)
韓国労働組合総連盟(FKTU)
シンガポール全国労働組合会議(NTUC)※オンライン参加
中華民国全国総工会(CFL)
(使用者側)
韓国労働雇用事業団(KLES)※オンライン参加
シンガポール経営者連盟(SNEF)※オンライン参加
2024年10月9日に「ビジネスと人権~取り組みの加速に向けて各国労使の対応に学ぶ~」をテーマに、国際シンポジウムを開催し、労働組合関係者、企業、学識経験者、マスコミなど計105名にご参加いただきました(来場・オンライン参加併用)。
シンポジウムではオーストラリア、台湾の労働組合代表、韓国、シンガポールの労働組合代表および経営者団体代表、日本の有識者にご登壇いただき、それぞれからの報告やパネルディスカッションを行いました。
冒頭、JILAF相原理事長のオンラインによる主催者挨拶を行い、次に矢木専務理事からJILAFの「ビジネスと人権」に関する取り組みの紹介を行いました。続いて、基調講演として、藤村博之 労働政策研究・研修機構(JILPT)理事長から「ビジネスにとってなぜ人権が大切か?」についてご講演をいただきました。その後、ビジネスと人権に関する各組織の取り組みについて、各国労使から報告を受けました。また、同テーマに、藤村JILPT理事長をコーディネーター、各国報告の講演者をパネリストとしてパネルディスカッションを行いました。
各セッションの要旨
基調講演 藤村JILPT理事長
日本では人権侵害はないと思う方が多いが、外国人労働者、技能実習生に劣悪な環境下で働かせている企業があり、そうした企業の製品を購入・利用することは間接的に人権侵害に加担しているとも言える。消費者の1人1人が、こういった問題意識をもち、消費行動することが重要である。
また、働く者を組織する労働組合は、ビジネスにおいて労働者の人権が侵害されないように目を光らせる役割を背負っている。「ビジネスと人権」が叫ばれる今日において、この役割は非常に大きい。
各国報告
- オーストラリア労働者側代表(ACTU)
オーストラリアはビジネスと人権に関する国の行動計画が策定されておらず、強い規制もない。市民社会、とりわけ労働組合が力を発揮する必要がある。
- 韓国労働者側代表(FKTU)
すべての労働者に労働基準法を適用する活動を行うとともに、急激に増加しているプラットフォームワーカー等、労働者の定義が議論される労働者の範囲、概念を見直す活動を進めている。
- 韓国使用者側代表(KLES)
人権尊重に向けて労使間の社会対話を重視する。加盟企業に対するセミナー等を通じて、人権尊重に向けた働きかけやホットラインを運営している。
- シンガポール労働者側代表(NTUC)
シンガポールでは政労使三者のパートナーシップの仕組みにて労働者保護を行っている。
「Every Worker Matters (すべての労働者が重要である)」をスローガンに取り組んでいる。
- シンガポール使用者側代表(SNEF)
2025年に職場における差別禁止に関する新たな法律を制定・発効予定である。加盟企業に周知・教育を行い、差別撤廃に向けて労使協働で取り組んでいきたい。
- 台湾労働者側代表(CFL)
台湾は国連非加盟国であるが、グローバルスタンダードにコミットしている。外国人労働者を含めたすべての労働者の権利保護は経済発展の核心である。
パネルディスカッション
企業にとって、利益の追求は原動力であり回避できないが、企業の利益だけ、あるいは労働者の権利だけを最大化することはできない。持続可能性、バランスが大事である。
各国とも外国人労働者を多く受け入れている状況であり、外国人労働者の人権保護やまた、プラットフォームワーカーなどの雇用関係にあるかどうか議論がある労働者に対する保護も課題である。
労働移動の自由があれば人権を尊重しない企業には労働者があつまらなくなり、人権を守ることの強制力になりえる。国際レベルでの様々な分野での社会対話を進め、企業活動における人権の尊重について課題を共有し解決していくことが重要である。
協力団体
ILO日本協議会 | 日本生産性本部 | 労働政策研究・研修機構 (JILPT) |
ありがとうございました。