連邦公務員に転職勧告の公式Eメール
1月31日のニューヨーク・タイムズは「連邦人事管理局から連邦公務員に向けて民間企業への転職を促す質疑応答形式の公式メッセージが送られている。内容は民間企業に副業を持つか、”夢の行き先”へ到達する数か月間は給与を受け取ることが出来ると記されているが、違法の疑いが強い」と報じた。
その中で、ワシントン近郊の67名死亡の航空事故に遭遇した連邦航空局(FAA)職員についても、今週初めに続いて、事故から24時間後の昨木曜日午後8時30分前後にEメールが送られ「数か月以内の出来るだけ早期に民間企業に生産的な仕事を探すよう要請する。アメリカ繁栄への道は低生産性の公務員部門から生産性の高い民間部門への人々の移動にある。転職の際には数か月間の兼業も可能である。2月6日までの退職者には9月まで給与が支給される」と記され、侮辱の色合いも強い。しかも、法律は多年にわたり連邦公務員の副業を禁じてきた。
政府支出削減を急ぐトランプ政権からの同様のメッセージは安全保障省や職業安全衛生局、商務省や陸軍技術兵団にも送られているが、行政の効率化に従事するNPO団体では「一連の衝撃で連邦公務員に恐怖と混乱が広がっているが、政権は事態の深刻さを感じていないようだ」と語る。
先週1週間、既に数百人が解雇、配置転換、レイオフを告げられているが、各政府機関の監査や効率促進を任務とする監察官17名も解任されており、更に数千名への影響が懸念されるが、トランプ大統領は「常識だが、今回の航空事故の一因は人種の多様化にある」と述べている。
しかしEメールには、行政休暇を制限する連邦法との関係、民間企業との兼業を禁じる倫理規定、政治的干渉や圧力から行政を守る労働協約との関係についてのコメントはない。
また政府が公約する9月30日までの休暇と給与全額保証にも疑問が残る。予算はホワイトハウスではなく議会が決めるが、現在の予算は3月14日までとなっている。
さらにはトランプ大統領が公約した支出削減を最後まで貫けるかどうか、昨年の支出総額6.7兆ドルのうち2兆ドル削減が可能と言明した政府効率化省のイーロン・マスク氏もその後、目標達成は難しいと述べている。
今回提案の合法性については、財務省職員が受け取った1月31日午後のメールには合法性が確認されたとあるが、退職受諾時には民間企業との契約前に所属部署の担当役員と相談するようとの、注記があると言う。
今回の航空事故については人員不足が原因との指摘もある中、全国航空管制官協会労働組合のダニエルズ委員長は「退職勧告が組合員に与える影響は明らかでないが、世界的に管制官の人員不足が認識される状況にあるが、経験を積んだ管制官を失う懸念が強い」と語る。