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AFL-CIOとサービス労組が合併

2025.02.26掲載

1月8日のニューヨーク・タイムズは「労働組合に非友好的なトランプ政権誕生を控えて、国際サービス従業員労組とAFL-CIOが合併することになった」と報じた。

 

サービス労組は在宅介護や清掃労働者などのサービス産業で200万労働者を組織するが、今回、AFL-CIOへの併合に同意したと発表した。AFL-CIOは50以上の労働組合を傘下に持つ、1,250万名の全国組織である。

 

サービス労組のベレット会長は「合併交渉は2年前から始まり、昨年初めからは討議が促進された。入りやすい組合加入や活動活発化のための地方や各州、連邦段階での整備、更にはマルチ・ユニオン、マルチ・セクターを意識した整備を行った。合併と大統領選挙とは関係ないが、トランプ政権の脅威については、不法移民の大量送還、医療保険の縮小、連邦公務員への攻撃、グリーン・エネルギー投資の減額、政府支出削減へのトランプ委員会問題などを討議して、予測不可能な事態にも備えた抜かりの無い対応を考えた」と言う。

 

AFL-CIOは多数の職員と1億ドル以上の年間予算により、傘下組合の活動を支援しているが、シュラー現会長、トラムカ前会長時代を通じては各種の法制化を実現、クリーン・エネルギー法では労働組合賃金を採用させるなどの成果を上げた。また、カマラ・ハリス大統領候補応援に各労働組合は4,000万ドル以上を支出したが、トランプ候補のチップ非課税、新関税などの公約で労働組合は分断、130万人のチームスター労組はトランプ支援に転じた。

出口調査では、一般労働者の投票の多くがトランプ支持に流れたが、ベレット会長は「トランプ公約は口先だけの実際的な政策効果のないパフォーマンスだ」と批判する。

 

サービス労組は2005年に長年加盟のAFL-CIOを脱退したが、理由は本部上納金を減額して新規組合員の組織化に資金を投入すべきとするものであった。チームスター労組が同調してCHAGE・TO・WINが結成されたが、そのため、AFL-CIOは1,350万組織の400万名を失い、数百万ドルの組合費も失った。しかしCTWはその後、原動力を失い、チームスター労組は復帰、サービス労組もAFL-CIOとの活動協力を強めていた。

 

AFL-CIOは2022年、組織力強化のための組織化転換センターを1,000万ドルの年間予算で発足させたが、組合員数は1980年代の20%から減少を続けて最近では約10%に下落した。

バイデン政権の友好政策にもかかわらず、2年間の民主党多数下院議会の中でも、労働組合結成促進法案の議会通過に失敗した。「AFL-CIOは新規組合員の組織化優先か、政治法制整備優先か?」を問われたシュラー会長は「区別は出来ない。双方の実現に取り組む」と答えている。