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現代自動車の部品企業がアラバマ刑務所の囚人労働者を解雇

2025.02.26掲載

2024年12月18日のニューヨーク・タイムズ(NYT)は標記記事の中で「現代自動車へフェンダーを納入するジュヤング(JY)社はアラバマ刑務所の囚人労働者を雇用して事業を営んできたが、NYTが報じた強制労働の疑いを受け、同州刑務部を通じて雇用した数十名を解雇し、刑務部との契約を破棄した」と報じた。

 

アラバマ州では2022年の憲法改正で強制的な奴隷労働を広範に禁止し、犯罪人を例外とした従来規定も撤廃したが、以来、同州及び連邦裁判所には幾つかの訴訟が起こされている。

 

JY社の問題について刑務所関係者は「労働者の宣誓供述書には、『11月のNYTの報道を不快とした現地JYの幹部が囚人労働者全員を解雇して、他の労働者と入れ替えると告げられた』と書かれている」と述べたが、供述書を入手したNPO ”アメリカを動かす仕事 JMA”グループは解雇不当の訴訟を起こすと言う。JMAは囚人のために活動する労働グループだが、解雇されたのは32名、うち20名は転職先を見つけたと話している。

 

現代自動車の納入先行動基準にはその製品が直接、間接を問わず、強制労働によらないことが記されているが、JY社が基準違反か、強制労働かの質問には現代からの回答はなく「独立した供給先の従業員の採用には関与しない。しかし違反申し立てへの追跡調査を行う」とのことであった。

 

一方、数千人の囚人労働者を民間企業に送るアラバマ州刑務所労働計画については批判も多く、受刑者強制労働リース計画とも呼ばれるが、労働者の給与は税金や洗濯代、輸送費の名目でアラバマ刑務所が40%を天引きし、時給手取りが数ドルの事も少なくない。他方、州政府への刑務所労働は時給2ドルないし無料の時もある。

 

囚人労働者の反応も複雑で「JY社で働く或る者は危険な仕事だが選択の余地がないと答えるが、多くは刑務所外で一般市民と共に働くことに救われる思いだ」と答えた。

 

労働関係者も囚人労働計画は廃棄よりも改善されるべきだと考えており、JMA担当者も「JY社の解雇に驚いた。労働者はJY社の仕事に頼り、刑務所内の労働よりは安全だと感じている」と語る。なお、アラバマ刑務部施設内の安全性の欠如と暴力状態については米国司法省から訴訟が起こされている。