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イスラエル労働組合が人質解放を要求してゼネラル・ストライキ

2024.09.30掲載

9月2日のニューヨーク・タイムズ(NYT)とロイター通信は「イスラエル建国にも関わった強力な労働組合ナショナルセンターHistadrut(イスラエル労働総同盟)が、ハマスからの人質開放を要求し9月1日と2日にゼネストを行い、イスラエル各地の輸送機関や医療、金融機関、多くの商店や会社が閉鎖された」と報じた。

先週末に発見された6名の人質の遺体は48時間から72時間前に射殺されたものと見られ、イスラエル全土に悲しみと怒りの渦が広がった。エルサレムとテルアビブの抗議デモには50万人が参加、ハマスとの停戦協定と101名の人質解放交渉をネタニヤフ首相に要求した。2日午後、労働裁判所はストライキが経済問題でなく政治問題だとして中止を命令、Histadrutは命令を受け入れた。

Histadrutの創立は、多くの国で労働組合が政治的、経済的に影響力を強めた1920年だが、1948年のイスラエル建国にも大きな役割を果たした。同労組の創立目的は、当時、英国支配下にあったパレスチナへのユダヤ人移民に対する労働環境の必要性を説くことによるイスラエル建国への基盤を築くことであった。その後、イスラエル誕生時には産業や金融面などの経済基盤の確立に大きな役割も果たし、当時の同労組会長、デイビッド・ベングリオン氏がイスラエルの初代首相に就任した。

Histadrutには現在80万人、27の労働組合が所属するが、現在の会長には予備軍で少佐を務め、また長年の組合員であるアーノン・ベンデイビッド氏が2019年に就任した。2023年始めには各労働組合、産業界、予備役軍人との協力によるストライキにより、ネタニヤフ極右政権が進めた国会議決への最高裁権限縮小の法案を撤回させ、この数十年来最大の反対運動はネタニヤフ政府が試みる司法改革を頓挫させるものとなった。

その後に起きたハマスの攻撃とガザ地区侵攻により、司法改革問題は後退を余儀なくされているが、今日のゼネストはHistadrutが再びその影響を強めていることを示すもので、ゼネスト前夜の大規模な人質解放要求デモは戦争開始以来、最大の反政府運動となった。

昨年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃で、ハマスは1,200名のイスラエル人を殺害、253人を人質としたが、ガザ地区ではその後の絶え間ないイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人の死者が40,600人を超えている。