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UAWがトランプ、マスクの両氏を不当労働行為で提訴

2024.09.17掲載

8月13日のニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストなどが「全米自動車労組(UAW)は、12日に行われたトランプ前大統領とE・マスクCEOの会話が労働者を脅迫するものとして問題視し、翌13日、両氏を労働関係委員会に提訴した」と報じた。

トランプ氏はX(ツイッター)を通じての会話で、ストライキの労働者を解雇するマスク氏を称賛、「何処の会社かは言わないが、ストライキがあると貴方はそこへ行き、『辞めたいのか? それなら結構。お前ら全員が首だ』と告げる。貴方は、偉大な首切り人だ」と述べ、これに対してX社、テスラ自動車、スペースXを経営するマスク氏は笑って応えた。これは現在テスラの組織化を目指すUAWにとっては耐え難い発言と言える。

マスク氏は解雇に容赦ないとして知られ、特にX社(以前のツイッター)については会社買収直後に従業員の半数を解雇、労働組合を認めない姿勢を貫いている。テスラについても2021年に全国労働関係委員会(NLRB)から労組活動を行った従業員の不当解雇で起訴され、今年にはスペースXの従業員についても同様の疑いが起きた。
NLRBはまた、トランプ選挙陣営での不当労働行為の訴訟も受けているが、同陣営の広報担当者からは「訴訟は、トランプ氏への労働者支持を傷つけようとする恥知らずな政治行為だ」とのコメントがある。

オバマ時代にNLRB議長を務めたピアース氏は「UAWは政治家相手に新たな手法で対抗しようとしているが、トランプ氏がマスク氏の会社を代弁していると証明できない限り、訴訟は難しいだろう」と述べる。全国労働関係法では使用者が労働組合活動への報復として労働者を解雇するという脅迫は違法となる。

他方、ウェイン州立大学のマスターズ名誉教授は「UAWの行動はトランプ氏の労働組合に対する態度を明らかにして守勢に立たせることになる。またUAWはテスラ組織化を控えてマスク氏の反応を見守っている」と述べた。

UAWフェイン会長は声明の中で「トランプ氏はUAWの主張全てに反対する。トランプとマスクが望むのは跪き、沈黙する労働者を前に大声で笑う自分たちの姿だ」と述べた。