民主党副大統領候補、ウォルツ知事への労働組合支援
8月6日のニューヨーク・タイムズ(NYT)は民主党副大統領候補に関する特集記事を組む中で、指名されたミネソタ州ウォルツ知事への労働組合支援について次のように伝えた。
ウォルツ候補には多くの労働組合から強い支持があるが、特に強い支援体制を打ち出しているのは公務員労働組合で、高校教師とフットボールコーチの経歴、知事としての学校教育や州政府事業従業員への手厚い待遇を高く評価している。
アメリカ州郡自治体従業員組合連合(AFSCME)のサウンダース会長は「ウォルツ知事は民間大企業による刑務所事業参入を禁止して司法分野での利益追求を阻止し、AFSCME刑務官の雇用を守った」と述べ、アメリカ教員連盟(AFT)のワインガーテン会長も「公立学校での無料学校給食を実現させた。去る7月のAFT大会に出席したハリス副大統領には同知事をアドバイザーとするよう強く推薦した」と述べた。
全米自動車労組(UAW)も、先月にハリス大統領候補を公式に推薦、フェイン会長はウォルツ知事とケンタッキー州のベッシアー知事を副大統領候補にと強く推薦してきたが、ペンシルバニア州のシャピロ知事とアリゾナ州のケリー上院議員については懸念を表明、その意見をハリス副大統領や側近に伝えた。
ケリー上院議員は労働法改革に消極的な点、またシャピロ知事は教員労組が反対するスクールバウチャー導入やUAW主張のガザ地区侵攻反対と即時停戦に意見の違いがあり、ミシガン州のアラブ・コミュニティーに在住する多くのUAW組合員と10万人に及ぶ学生組合員はイスラエル侵攻に強く反対している。
なお、スクールバウチャーとは公立学校の質の低下を補うため、私立学校に通う学費などへの補助金制度である。
ウォルツ知事もハマスを批判し、イスラエル支援を表明しているが、その主張は強くはない。弱点としては、今年、配車アプリのウーバーとリフト運転手の最低賃金法に署名して左派からの批判を呼んだが、労働組合は「組合造りがやり易くなった。労働者保護につながる」との評価が多い。この点、国際サービス従業員労働組合(SEIU)のベレット会長も「知事の指導の下、ミネソタ州議会は数十年来で最も労働者保護となる法律を通過させた」と評価する。
広報関係の専門家は「ウォルツ知事はここ数週間、メディアへの出席を強めて副大統領候補への印象を高めてきた。しかし、労働組合の力が意外に大きかったこともあるかも知れない。インターネットの力が彼を押し上げ、それに加えて労働組合などとの連携が有機的に機能した」と語る。
こうした状況の中、激戦州ペンシルバニア州のシャピロ知事は、ウォルツ知事を指名し称賛。「彼は偉大だ。教師であり愛国者であり、私の親友だ」と聴衆に呼びかけた。