2024年度JILAF国際シンポジウムI「ビシネスと人権~責任あるサプライチェーン~」
開催地:東京
参加者
60名(来場22名、オンライン38名)
活動内容
7月25日に「ビジネスと人権 -責任あるサプライチェーン-」をメインテーマに、「すべてのステークホルダーとの対話が、求められる企業行動への第一歩。いまなすべきことを考える!」をサブテーマとし、「国際シンポジウムⅠ」を、ILO駐日事務所・日本生産性本部の後援のもと、バングラデシュ、ベトナムの労使関係者を招いて開催しました。
JILAFおよび佐藤博樹東大名誉教授から、テーマに沿った提起を行うとともに、「必要性は認識しているが、取り組むにあたりどこから着手したらよいかわからない」との声に対して、支援策や労使などの関係者間の社会対話の促進や国際労働基準の普及と遵守に向けた方策への提案について参加者へ投げかけました。
バングラデシュ、ベトナム両国の労使からは「ビジネスと人権」「責任あるサプライチェーン」をめぐる見解や取り組み、課題についての報告を受け、ルールはあるが実態との間にギャップがあることや、中小・零細の職場まで意識が行き届いていないなどの現状の共有がされました。
パネルディスカッションでは、バングラデシュ、ベトナム、日本の労使から選出のパネリストが、普及・実践へのツールとなる「人権デューディリジェンス」の意義と普及への道を探る意見交換が行われ、情報開示のあり方や、建設的労使関係の構築に向けた労使対話の必要性、啓発、市場への拡大に向けた方策などが議論され、「労働者側も使用者側も、この課題においては同じ方向を向き、日頃の活動の延長線上で協力できることがある」としました。
なお、10月にはサプライチェーン形成を主導する先進国からの労使を招き「国際シンポジウムⅡ」を開催します。
参加者意見
- 外国資本が導入されると、労働基準の切り下げが常であるが、これは望ましい方向ではない。
- ステークホルダーによるエンゲージメントを高めるべきで、労働組合もその一主体であるものの、結社の自由が妨げられるとそれもできなくなる。打開できないか。
- ビジネス環境の整備(投資呼び込み)と人権尊重の両立には、人権デューディリジェンスはよいツールである。普及には、市場の気運形成と制度による何らかの後押しも必要ではないか。
- 日本の労働組合が人権デューディリジェンスにどう対応したらよいか、ヒントを得たい。
- 日本企業は進出先の両国でどのように見られているかを知りたい。
- 本題に関する情報があふれる中、行動の事例や道筋、優先順位付けなどを示すことで、各主体が実践に向けて必要なものを取捨し行動に移せるようにする段階であることを再認識した。
プログラム
開会 | |
---|---|
主催者あいさつ | 国際労働財団 理事長 相原康伸 |
後援団体あいさつ | 国際労働機関(ILO) 駐日代表 高﨑真一 |
導入Ⅰ(課題提起) | 人権デューディリジェンス・両国のセミナー受講者はどう見ていたか
-ILOとの協働事業を通じて得た知見から-」 斉藤俊和 国際労働財団 事務長 |
導入Ⅱ(課題への対応) | 労働分野におけるグローバル・サプライチェーン上の人権DDの取り組み
–企業が直面する課題と課題解決のための政策的支援の在り方- 佐藤博樹 東京大学名誉教授 /中央大学ビジネススクールフェロー(オンライン) |
レポート | 「グローバル・サプライチェーン」における
「ビジネスと人権」をめぐる両国のいま <労働者側からの視点> 国際労働組合総連合・バングラデシュ協議会(ITUC-BC) ベトナム労働組合総同盟(VGCL) <企業側からの視点> バングラデシュ経営者協会(BEF) -オンライン- |
パネルディスカッション | 『ビジネスと人権』の企業行動
–ステークホルダーと役割をいまいちど定義する- <コーディネーター> ILO駐日事務所プログラム 小林有紀 <バングラデシュ> バングラデシュ経営者連盟(BEF) 事務局長補 ムハンマド・サイドゥル・イスラム(オンライン) ITUCバングラデシュ協議会 労働組合連盟(JSL)事務局長 K.M.アザム <ベトナム> ベトナム労働組合総同盟(VGCL)労働関係局副局長 グェン・ビン・クァン <日本> 中小企業家同友会全国協議会(中同協) 政策局長 斉藤一隆 国際労働財団 事務長 斉藤俊和 |
閉会あいさつ | 国際労働財団 専務理事 矢木孝幸 |
協力団体
国際労働機関(ILO) 駐日事務所 | 公益財団法人 日本生産性本部 | 中小企業家同友会全国協議会 |
バングラデシュ経営者連盟(BEF) | 国際労働組合総連合バングラデシュ協議会 (ITUC-BC) |
ベトナム労働組合総同盟(VGCL) |