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ギリシャが週6日制を採用、諸外国では週4日制で生産性向上

2024.07.25掲載

7月4日のニューヨーク・タイムズ(NYT)、5日のMPR ニュース、及びTOVIMAニュースは「EU諸国が週4日制を目指す中で、最長労働時間を記録するギリシャは更なる労働時間延長の法律を7月1日付で施行した」と報じた。

ギリシャの新法はホテル業や飲食業では既に認められており、従来の週5日制に加えて週6日制を認めるものだが、「1日24時間・年中無休操業の企業、および現行労働者だけで対応できない例外かつ緊急需要が生じた場合の企業に適用され、実施企業は事前に政府への申告を必要として、6日目の労働時間は8時間を超えないとし、6日目の報酬は通常賃金の40%増、その日が日曜日や祝日に当たる場合は115%増とするもの」とされる。

新規採用者については6か月間を試用期間とし、最初の1年は退職金無しで解雇できる。また、24時間前の通告により、休日出勤を命令できる。
また、労働者は2つのパートタイムを持つことで、1日13時間の労働、つまり週65時間から78時間の労働が可能となる。対象企業であっても、週6日、40時間労働(6.5時間/日)を採用することも可能である。

EU諸国と同様にギリシャでの熟練労働者不足は深刻だが、ケラメウス労働社会保険相は「新法は労働者不足への対策と労働者の収入増加の一助となるもので、週5日制に影響する事はない。この法律は老齢化する労働人口を支え、報告されない違法労働を防止して、労働者に正当な報酬を与えるものである」と説明した。

熟練労働者不足は2009年からの財政危機の時から始まっている。ギリシャでは大量の若者がより良い職を求めて外国へ出国、さらに、企業の職業訓練や投資の削減などで問題が更に大きくなった。その後の景気回復時にも企業の対処が出来ていない現状にある。
また、ギリシャは過去数年、多くの難民移民問題に遭遇していたが、現在では特定移民に住居の提供や労働許可を出す状況にあり、特に農業労働者などについては周辺諸国と協定を結んで招き入れている。

しかし、新法に対する労働組合などの反対は強く、昨年の法律成立時にも激しい抗議活動が起き、急進左派のSYRIZA党からは「労働条件を19世紀に戻す国辱だ」との非難、ギリシャ民間労働組合のフォトポウロス事務局長による労働相宛の公開書簡には「最も暴力的で反労働者的な政府だ。労働者の20%が貧困水準以下のギリシャで、この法律は到底容認できない。失業と貧困に曝される労働者を奴隷のように扱う使用者に対して、どの労働者がノーと言えるのか?」とする糾弾が記されている。

一方、ギリシャと対照的な週4日制を唱える諸外国では、米国のサンダース上院議員が現行週40時間から32時間への週4日制移行を提唱しており、提唱者は短時間労働による生産性の向上を主張する。
コロナ・パンデミックもあって、英国やアイスランド、ニュージーランドでも週4日制の実験が試みられている。2022年の英国における6か月間の実験には広告、医療、金融、サービス、小売り、ホテル、接客業など73企業が参加した。その中での結果回答41企業のうち、35企業が実験継続に同意、また、39企業では生産性が同等ないし向上、6企業からは生産性が大きく向上した、と報告された。

昨年のギリシャの労働時間はEU諸国平均の36.1時間に対し最長の39.8時間を記録、EU統計での時間当たりの生産性はEU平均より30%低いとされる。
また、ギリシャ経済は近年多くの危機に遭遇する中、GDPは2007ー2008年を最後に低迷を続け、他のEU諸国に大きく遅れを取っている。

この点で専門家は「新労働基準は収入増加を希望する労働者への刺激になると同時に、使用者が法律に基づく残業代の適正な支払いを義務づけることになる」と指摘して、生産性への期待を述べている。