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UCLA学生の反イスラエル・ストにUAWが支援体制

2024.06.10掲載

5月2日のニューヨーク・タイムズ(NYT)は「カリフォルニア大学でイスラエルへの抗議活動を続ける学生組合員を支援するため、全米自動車労組(UAW)が不当労働行為の訴訟を起こし、学生排除に対してストライキを起こす構えにある」と報じた。

UAWは自動車産業の他にも航空宇宙、農業機器、大学、地方政府や病院などを組織化しており、カリフォルニア大学の大学院生の教授助手、研究員など48,000名の学生組合員を代表するのはUAW local4811だ。これら学生は4月25日から、ガザ地区へのイスラエル軍事侵攻に抗議して、大学構内で座込み抗議活動を続けてきたが、200名が警官隊に逮捕された。これに抗議するUAW4811は学生組合員に対し「全面ストないし部分ストの権利確立を問う方針だ」との声明を発表した。

また、UAW local 4811のジェイミー共同委員長(英語学部博士課程学生)は「大学は従業員の言論の自由を捻じ曲げて、交渉に応じることなく、パレスチナ擁護の発言を封じようとしている。これを不当労働行為で訴える」と述べ、また「4月30日の夜、パレスチナ擁護で座込みをしていたUAW学生が反対派からの攻撃をうけた時、大学はなんの保護措置も取らなかった。反対派はバリケードを壊し、花火を打ち込み、胡椒を振り掛けるなどをしたが、キャンパス警官は阻止もせず、LA警察とハイウエー・パトロールの到着も数時間後となり、反対派を逮捕することもなかった。大学関係者が現れたのも数時間後で黙視するだけだった」と語る状況に、同州ニューサム知事などから非難された。

5月1日には、数十名の暴動鎮圧装備の警官隊が座り込み学生の排除に乗り出し、銃弾などを使用しUAW学生を含む200名が逮捕された。しかし、この時も反対派の逮捕者はなく、反パレスチナ優遇の状況になった。UAWlocal 4811はこれを大学従業員の言論の自由侵害の行為だとして、来週初めにもスト権確立を呼びかける方針だが、10キャンパスに及ぶカリフォルニア大学全体を対象にするか、UCLAだけに止めるかは未定だと言う。

これに対し、学長事務局は声明の中で「ストライキは違法であり、この状況を利用しようとする労働組合は法を無視するものだ。UAWの学生従業員がこの危機を利用して不法ストを計画していることを懸念し、失望を覚える。我々のコミュニティーを守るため、皆様の協力をお願いする」と表明した。

UAWの学生組合員は30万人の大学生を対象に大学業務を行っているが、クラウン・ジュエルと呼ばれる米国でも最高クラスの研究者がおり、試験用紙の採点や各種討論の主宰、調査を行っている。しかし全米でも物価の高いカリフォルニア地域での生活は苦しく、2022年には最長といわれる6週間のストライキを行ったこともある。
UAWは昨年の10月から、ガザ地区での停戦を呼びかけるパレスチナ擁護の運動を展開している。