JILAF/ILO共催多国間セミナー
11月6日(月)~11月10日(金)の5日間にわたり、タイ・バンコクにおいて、ILO-ACTRAV(国際労働機関労働者活動局)との共催で、「労働安全衛生と責任あるサプライチェーンにおける労働組合の役割」をテーマに、標記セミナーがアジア太平洋圏の労働組合リーダー29名(13か国)の参加で開催しました。
開会に先立ち、共催各組織を代表しILOからはITC(トリノ・トレーニングセンター)のラファエル・マパロ活動マネジャー、アジア太平洋総局より大辻由起ACTRAV(労働者活動局)上席専門家、JILAFから木暮参与、在タイ日本大使館から宮田書記官がそれぞれ挨拶を行いました。
セミナーにおいては、JILAFから、①「日本におけるビジネスと人権の取り組み」講義と、②「参加型労働安全衛生改善活動(POSITIVE)」に関するワークショップを行い、日本の建設的な労使関係や対話の仕組みとともに、職場環境改善のプロセスを共有しました。
ILOからは、アジア太平洋総局の氏田由可労働安全衛生上席専門家、大辻専門家、ILO駐日事務所の小林専門家(オンライン参加)、アジア太平洋総局のノッパウット専門家による、近年の労働安全衛生に関するILOの動きとデューデリジェンスを含む人権保護にかかる労働組合に求められる活動についての講義、またマパロマネジャーからは、各グループによる、企業行動における人権保護に向けた建設的労使関係について、受講者自身による具体的取り組みプランを作成するセッションがそれぞれ持たれました。
また、今回は新機軸として、専用の機器を用いた仮想現実体験講座として、職場の仮想空間を素材として、職場の改善点を探し当てる疑似体験をする講座が行われました。
閉会式では、マパロマネジャー、大辻専門家、長須専門家、鈴木グループリーダー、受講者代表2名が挨拶を述べ、今回のコースで得られた内容を帰国後に活かすとともに、このネットワークを保ち続けてほしい(保ち続けたい)との内容が述べられました。
講義詳細
- 木暮参与「責任あるサプライチェーン/デューデリジェンス~日本の労働組合の経験~」
わが国多国籍企業の行動規範の好例を共有し、職場に適用させるための、労働組合による戦術の必要性を強調したほか、企業行動における人権保護の具体事案に関して、ハラスメント等具体的要素について説明。
- 長須専門家「POSITIVE/ビジネスと人権」
工場の職場巡回を模した複数の画像に対して、a.素材の保管・扱い方、b.作業環境改善、c.環境保全、d.施設と保健の4つの側面から、伸長、改善すべき点の洗い出しを各グルーブ行い、洗い出されたすべての要素から、伸ばすべき点、改善したい点を全員の投票で選びだし、模擬団交を通じて模擬工場の改善の実現に結びつけた。また、ビジネスと人権に関する講義では、各班が関連課題から自身のゴールを設定し、実現のために必要となる前提や取り組みを樹状に展開し、その過程で各グループがとるべき具体的なアクションは何かについて、発表。