マイクロソフト傘下のアクティビジョンで600名の労働組合
3月8日のニューヨーク・タイムズとロサンゼルス・タイムズなどがアクティビジョンの組織化について報じた。この労働組合はビデオ・ゲーム業界最大となるもので、親会社のマイクロソフト(MS)は交渉代表としてのアメリカ通信労組(CWA)を公式に承認した。
労働組合が結成された職場は各種ゲームをハッキングなどから守る品質管理部門の労働者で、結成賛成390票、反対8票、棄権200票であった。
MSは昨年10月に”Call of Duty” などのヒットで有名なアクティビジョン・ブリザードを約690億ドル(約10兆円)で取得、議会承認を得るために労働組合結成には中立を守るとする業界初の公約に署名、管理職にも労働組合の良し悪しを発言しないよう徹底した。
この点についてCWAのカミング会長は「MSの判断は顧客奉仕への企業文化を強化するもので、業界モデルになって欲しい」と述べ、米国各地で働く同様職種の労働者の賃金労働条件の改善に期待を寄せた。
MSとの合意では、労働組合承認を手間暇のかかる全国労働関係員会への申請に頼らずに、労働組合承認カードへの署名やオンライン投票で決める迅速手続きにより行うが、判定は第3者機関が行う。MSは第三者機関としてCWAを「アクティビジョン・パブリッシング中央品質管理従業員」の交渉代表として承認した。
アクティビジョンで労働組合結成の動きが高まったのは2021年、職場におけるセクハラを市民権グループが訴訟に持ち込んでからだったが、問題はそれだけでなく、新ゲーム開発の数か月前、労働者はへとへとになるまで働き、机で寝ることも多かったと言う。
その他に各種差別や不透明な昇給昇進基準など、「ゲーム開発は夢の仕事」という思いを裏切る事態が多かった。こうした中で、MS傘下の最初の労組結成は2023年1月のZeniMax の300名であったが、今回の組織化でCWAはゲーム業界で1,000名を超える組合となった。
ビデオ・ゲーム業界はコスト削減の激動期にあり、今年1月にはMSが1,900名の人員整理を発表しているが、労組幹部は「雇用を守ると同時に退職手当の増額などの改善を急がねばならない」と語る。