英国で6日間の医者のスト、1週間のロンドン地下鉄スト
1月3日及び4日のニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト(WP)、ロンドン・イブニング・スタンダードなどが「賃金・労働条件の改善を巡り、ロンドンのクイーンズ病院で6日間の若手医師によるストライキが、地下鉄では英全国鉄道・海運・運輸労働組合(RMT)による1週間のストライキが起きた」を報じた。
地下鉄ストでは8日から11日の間、運転手、運行、信号係、一般駅員などが参加した。そのため、270駅で1日400万人の利用が完全に停止。乗客は地上交通のバスや市電、ライトレール(DLR)、そして最近開通したヒースロー空港を東西に結ぶエリザベス・ラインを利用することになる。但し、一部のバスも賃上げ要求ストを行う予定にある。
賃上げ要求への会社回答は5%であり、一部組合はそれを受け入れたが、RMTは「物価上昇以下だ。労働条件の改善もない」として拒否した。物価は最近3.9%と落ち着きを見せているが、昨年には11%以上の高騰を示した。
他国と同様、英国も多くのストライキに見舞われている。2022年からのストライキは23年に入り、物価上昇が10%を超える状況を受け、新たな高まりを示し、鉄道労働者、看護師などの医療労働者、ごみ収集労働者、バス運転手、郵便労働者、教師などがストライキを行い、1978年から1979年の全国ストを想起させる規模に拡大した。
現在進行中の大きなストライキにはクイーンズ病院や聖トーマス病院の若手医師による6日間ストがある。英国医療協会(BMA)は、未だ研修状態に置かれる免許医師の問題、2008年以来続いた25%の賃下げを補う賃上げ35%、長時間・過重労働の解消などを要求している。若手医師たちは、昨年3月から10回のストライキを繰り返しており、予約キャンセルや手術設備のアイドリングによる損失は賃上げ要求額を上回ると言われる。BMAは、16万名ともいわれる人数で組織される英国の医師の職業団体である。
政府は昨年3月、看護師や救急医療労働者との賃上げ交渉では合意したが、若手医師の労働組合とは硬直状態にある。医師の初任給は病院カフェテリアのバリスタの時給14.09ポンド(17.80ドル)とほぼ同額で、その後の若干の賃上げも物価上昇以下に止まっている。
英国では待機患者問題が深刻な状況にあり、クイーンズ病院やキング・ジョージ病院では昨年、重症患者の68%が診療まで4時間以上待たされていたが、現在は50%にまで改善した。しかし1年以上の待機患者数は依然として1,000名を上回っている。
全国医療サービス(NHS)の待機患者数は各地での病院ストライキもあって、パンデミック前の460万人から現在は770万人に膨れ上がっている。スナク首相は、英国海峡を越えて押し寄せる難民問題以上の重要問題として、待機患者問題を5大政策目標の一つに掲げている。