2023年度 カンボジアの労働事情(カンボジア・ネパールチーム)
本労働事情については、ナショナルセンター・参加者から提出された資料に基づき「労働事情を聴く会」、参加者との意見交換を基にまとめたものである。
参加者情報
カンボジア労働組合連盟(CCTU)
- カンボジア労働組合連合会CUF
カンボジア労働総連合(CLC)
- 独立労働組合総連合会
カンボジア労働組合連合(CCU)
- カンボジアインフォーマルセクター協議会CILA
1.はじめに
カンボジアからは、3つのナショナルセンター「カンボジア労働組合連盟(CCTU)」、「カンボジア労働総連合(CLC)」、「カンボジア労働組合連合(CCU)」から参加した。本レポートは、そのナショナルセンターからの報告要旨をまとめたものである。
カンボジアでは、内戦で疲弊した国を復興させる過程で、政府が人権を無視すると欧米との貿易に際し関税が上がる仕組みを、国連の主導の下で作った。この制度の下で国づくりを行い、縫製業が発展した。国際的な指導もあり、1997年労働法が出来、その後社会保障法も徐々に拡大した。2008年には労災制度、2016年は民間会社向け健康保険制度、2022年には年金制度と進んできた。
年金制度は雇い主と労働者が各2%を払う。労災保険は全て会社側負担である。社会保険の掛け金を支払わない会社に対しては200ドルの罰金を課している。
2.カンボジアの労働事情
(1)法制度について
労働法で定める勤務時間は1日8時間、1週間48時間。週6日勤務、休日1日。残業代として割増50%、夜間11時から朝5時までは割増100%がつく。労働組合の教育活動として、労働法の普及を行っている。
最低賃金は、政労使17名ずつで構成された三者構成会議が出来ていて、2023年は200ドルまで上昇している。但し、政府と使用者は共同歩調をとっている他、労組側が標準生活費の調査を行う際には政府の了解を得なければならないという課題がある。
(2)新型コロナウイルスの影響と労働争議について
コロナ影響で、カンボジアは主力の繊維産業で輸出マーケットを多く失っている。コロナ禍で倒産した会社もあり、給料未払いのケースもある。問題は、協約を結んでも、経営者が守らない事にある。
観光業も、コロナで打撃を受けた産業である。会社を閉めざるを得なくなった際、事業を復活する時は再雇用すると約束したものの、実際には再雇用しなかった例がある。
(3)インフォーマルセクター労働者について
カンボジアの1,500万人を超える人口のうち、労働力人口は900万人以上、うち約800万人がインフォーマルセクター(農民を含む)に属している。コロナ禍の2年間、インフォーマルセクター労働者の仕事は減り、34%が
失業者になるなど厳しい状況が続いているが、2016年からインフォーマルセクター労働者も社会保障制度に加入することは出来るようになっている。