スリランカCWC・SLNSS/JILAF労使関係セミナー
2023.10.24 ~ 2023.10.25(コロンボ)
国際労働財団(JILAF)は、セイロン労働者会議(CWC)、スリランカ・ニダハス・セワカ・サンガマヤ(SLNSS)との共催で、10月24日~10月25日にスリランカのコロンボで労使関係セミナーを開催しました。同セミナーには、全国の労組指導者など40名が参加しました。
セミナーでは、現地労組や使用者団体、労働局が講義やデータ分析の報告等を行い、その後、グループディスカッションを行いました。
CWCとSLNSSの2つのナショナルセンターからの参加者は、スリランカにおける経済危機を乗り越えていくためにも建設的な労使関係、政労使による社会対話の重要性を全員で共有すると共に、政府は現行の労働法を改正しようとしているが、スリランカの労働者が不利になることなく、スリランカ経済全体の発展に寄与する改正となるよう、政労使間でコンセンサスを図ることが重要であるとしました。
1日目、JILAF役員が「日本の労働運動の歴史と役割と今日的課題」について講義し、日本の労働組合のあり方について、多くの質問が寄せられました。続いて、現地使用者団体から「使用者団体の立場から見るスリランカ労使関係の課題」をテーマとするプレゼンテーションがあり、紅茶栽培(プランテーション)産業における最低賃金から生活賃金への移行及びその中で多発した労使紛争や、海外の紅茶栽培の機械化によって生じている競争やチャレンジについて触れ、「企業の持続には労働者が不可欠なアセットであり、使用者は彼らの雇用安定を守る役割を認識すべき」、「変わっていく業界で生産性(競争力)の向上に労働者、使用者が誠意を持って貢献し、相互信頼に基づく労使関係を構築・強化することが重要であり、日本の労使関係をぜひ学んで欲しい」と述べました。次に、労働局より「建設的な労使関係及び団体交渉の推進」をテーマにした講義があり、①労使関係及び団体交渉に関するスリランカの法制、②政府と企業の連携を通じた使用者・労働者に対する人材育成、③安定した労使関係体制は経済社会の発展につながる、等に言及していました。以上の政労使の講義を基に、参加者たちはグループディスカッションを行い、1日目を終了しました。
2日目は、ナショナルセンターごとに「建設的労使関係の構築を通じた団体交渉の実現に向けて」をテーマとしたグループディスカッションを行い、其々のグループでまとめた内容を全体で共有し、以下を確認しました。
- 労働組合は、労働者の雇用条件・環境を改善するため、団体交渉を実施したことがあるが、体制が整っておらず、成功例が少ない。また、継続的な交渉の実施例がない。
- 団体交渉を進めるためには労働組合の組織強化が重要であり、組合員はノウハウやスキルを身に付け、仲間に普及し組織を強化することが重要。
- 交渉は、場合によって労使双方がある程度妥協することも必要。
- 日本の労使関係体制と春闘方式を導入し、スリランカの雇用環境を改善したい。