フィリピンNTUC Phl/JILAF労使関係・労働政策(IR)セミナーの開催
6月28日~7月1日、および7月5日~8日に、フィリピンNTUC Phlとの共催による「労使関係・労働政策(IR)セミナー」をオンラインにて開催しました。本セミナーには、合計85名が参加しました。
冒頭、NTUC Phlの青年代表、JILAF小山参与、在フィリピン日本国大使館官野一等書記官が挨拶を行い、本セミナーの主旨・目的等を参加者全員で共有しました。
つぎに小山参与から、“コロナ禍における日本の労使関係と安定雇用”をテーマに、①日本の労働運動の歴史、②労働組合の仕組み、③生産性運動と生産性三原則、④春闘と労使協議制、⑤コロナ禍の雇用安定の取り組み、⑥労働政策審議会の役割、等について概括的に説明しました。
参加者からは、日本の男女格差への対応、最低賃金水準の妥当性、世界的にインフレ傾向にある今日において労働組合は何をすべきか等、多様な質問があり、適宜回答しました。
続いて、直近のフィリピンの経済・労働事情等について、セドリック・バグダスNTUC Phl名誉事務局長は、「GDPや就労者数等、一部の経済指標はコロナ前を上回るようになった一方で、コロナ禍での休職から復帰できていない労働者も一定数存在している、最低賃金も生活できる水準には程遠い。」と述べ、「労働組合としては組織化を進めつつ、団体交渉と労働協約締結の活性化、最低賃金を最低限の生活ができる水準へ引き上げる等の活動を重点的に進めていく必要がある。」との考えを示しました。
労働雇用省(DOLE)からは複数のスピーカーが参加し、それぞれ、直近の①労働市場と労使関係、②労使関係の傾向と課題、③職場の安全衛生、④フォーマル雇用への移行に向けた課題、⑤グリーンで持続可能な仕事への移行、等について報告しました。特に、③については「コロナ禍で職場の安全衛生基準の遵守率が低下傾向にあり、その主な違反理由として、法定の担当者の未設置、法定研修の未実施等の基本的な事項が多くなっている。職場の健全な安全衛生を確保するため、労使でチェック機能をさらに働かせて欲しい。」との要請がありました。
参加者からは、職場の安全衛生遵守のための具体策、雇用情勢の今後の見通し等に関する質問、意見が多数出されました。
その後、参加者を産業や地域ごとのグループに分け、自身が所属する組織において、これまで達成できたこと・できなかったことを共有した後、それらをふまえた今後のアクションプランについて協議・作成し、発表を行いました。
最後に、小山参与は、参加者が4日間のセミナーに積極的に参加していたことに触れ、「労働組合においては話し合いを尽くすことが極めて重要であり、その点で皆さんは労働組合指導者として大変優れた資質を備えている。今回のセミナーで得た知識や経験を今後の活動に活かしていくとともに、議論を大切にするという皆様のよい習慣を保ち続け、建設的な労使関係の構築と労働運動の発展につなげていくことを祈念する。」と述べ、本セミナーは閉会しました。