タイITUC-TC/JILAF労使関係・労働政策(IR)セミナーの開催
国際労働財団(JILAF)は、11月5日~6日にITUCタイ協議会(ITUC-TC)との共催で、タイのシーラチャー市内において労使関係・労働政策セミナーを開催しました。同セミナーには各加盟組織リーダー他137人が参加しました。
開会にあたり元林JILAF常務理事から、参加者への謝意を表し、今回のセミナーが3年ぶりに対面で開催できたことの意義について説明するとともに、ポストCOVIT-19における建設的な労使関係の確立を議論する本セミナーの成功を期待する、と挨拶しました。続いてタイからニーラヌットITUC-TC代表、ドゥシットタイ労働省特別専門家、シリワン使用者連盟(ECОT)事務局長から、それぞれ建設的な労使関係の重要性について確認する旨の挨拶がありました。
セミナーでは木暮JILAF参与から、ビジネスと人権、そして昨今の日本の労働事情に関する講義を行い、ビジネスと人権に関する動向や各国におけるデューデリジェンス法制化の動き、少子高齢化社会における取組等についての説明を行いました。
続いて、タイ労働省のドゥシット特別専門家から、労使それぞれの立場の違いを認識した上で、労使紛争をどう予防するか、建設的な労使関係をどう構築するか、労使紛争発生時の解決策、労働省の対応についての発表がありました。
その後、ILOの城野氏と大辻氏より、ポストCOVID-19における建設的な労使関係及びビジネスと人権に関する発表があり、日本での労働に関する法律改正や労使間の問題を解決するためのソーシャルダイアログの重要性についてや、労働組合と使用者の対立と協調、権利や義務のバランスが重要であり、労働組合がビジネスと人権について理解することで新しい労働運動の切り口になることについての提案もありました。
その他、現地の労働組合からは、過去の労使関係の改善事例として、「27日間のストライキを実施したものの、会社も労働組合側も損害を受け、その後労使で真摯に対話を始め、現在では建設的な労使関係を構築できている。」との事例共有がありました。
2日目は元林JILAF常務理事から、日本の労働運動の役割と課題に関して講義を行い、日本の労使関係が経済社会に応じて変化してきたこと、以前は闘争的労使関係もあったが長い期間をかけて今の建設的な労使関係を築いてきたこと等を共有しました。
その後シリワン事務局長から、ポストCOVID-19における建設的な労使関係に関して発表があり、労使それぞれの理解と協力がなければ建設的労使関係が構築できない旨の発言のほか、会場の参加者に建設的労使関係を普及、促進するための制度設立を労使で検討する提案があり、参加者からは賛同の意見があがりました。
続いて、「ポストCOVID-19における建設的な労使関係構築による労使紛争の未然防止」をテーマにグループディスカッションを行い、各グループから
〇労使で将来に必要な職能訓練や人材育成研修を推進していく。
〇対話を通して(労使協議等)持続可能な建設的労使関係を構築していく。
〇労使でCSRの活動等を合同で実施することで労使の接点と信頼関係を構築し、建設的な労使関係に繋げる。
等の発表がありました。
閉会にあたって元林常務理事は、参加者の積極的な参加に謝意を表した上で、今後ビジネスと人権が労使ともに重要なテーマになってくるとの見通しを共有し、セミナーを閉会した。