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UAW会長に反体制派のフェイン氏当選、不可解な低投票率

2023.05.15掲載

3月25日付けのデトロイト・フリープレス(DFP)、ウオールストリート・ジャーナル(WSJ)、及び27日付けのニューヨーク・タイムズ(NYT)などが、再選挙となった全米自動車労組(UAW、40万人)の会長選挙で反体制派のフェイン候補の当選を報じた。

今回の役員選挙は、2名のUAW前会長と役員数十名による度重なる汚職問題の調査に当たった連邦政府機関が、組合財政や諸活動の監査に当たる中で、2020年に命じたものだ。従来通りの大会代議員による役員選挙にするか、組合員による直接選挙にするかの選択で、2021年末の組合員投票では直接選挙が選択された。
その後、2022年7月のUAW大会では役員候補者のみが決められ、11月末に行われた第一回組合員投票では投票総数106,790票のなかで、会長候補5名の中に過半数を制する候補者がなく、2月締め切りの第2回再投票では上位2名のカリー会長と反体制派のUAW Membersf United代表のフェイン候補の決選投票となっていた。

2回目の投票総数は141,548票で、3月1日からの開票は1,608票の疑問票を残して4日に中断。16日からの再開後、3月25日現在の483票の僅差の段階で、連邦監査官はフェイン候補の勝利を宣言した。僅差のため各投票の有効性に疑問を呈したカリー陣営からの再投票要求で、勝利宣言には数日を要することとなった。

フェイン新会長は当選に当たり、「今回の選挙は、単に2候補の争いではなく、将来のUAWへの信任をかけた選挙であった。UAWは長過ぎたトップ・ダウンの下、経営との対決を怖れる御用組合の執行部に支配されて
譲歩と汚職、工場閉鎖を重ねてきた。投票結果は僅差だが、組合員が経営に強硬な姿勢で当たるよう期待していることは明白である。UAWは全部門にわたり、本来の組合員主導による戦う組合に立ち返る歴史的機会に直面している。労働者階級の将来がかかっているのだ」との声明を発表した。

これに対してカリー現会長は、フェイン候補の勝利を祝福し、組合運営の円滑な移転に協力すると言明。協約改定交渉に向けて懸念された軋轢も払拭されていると言われるが、役員選挙の結果は14議席のうちフェイン派7議席、中立のグリーン候補派が1議席、体制派が6議席となった。UAWは、今年9月期限のフォード、GM、FIATクライスラーとプジョーの合併企業であるステランティスの4年の協約改訂交渉を控えている。

現在、フェイン氏はステランティス部門担当の副会長補佐だが、前歴はUAW-クライスラー訓練センターの組合代表、UAW国際局代表を10年間、熟練職委員会委員長などを務めた。
カリー氏がUAW会長に選任されたのは前任のギャンブル会長退任の2021年だが、1992年にフレイト・ライナー・トラック会社で組立工として採用され、第8区域の事務局長そして委員長を務めた。

それにしても、現職組合員40万人と退職組合員60万人の合計100万人、そのうち大学院生10万人を占めるUAWにあって、14万人程度の低投票率はにわかには信じられない。