活動報告 労使関係開発

2022年度 国際シンポジウムⅡ

開催: 2022.11.09
パネルディスカッションの様子

2022年11月9日(水)に「COVID-19の雇用・労働への影響と対応~プラットフォームワーカーの現状と課題~」をテーマに、国際シンポジウムを開催し、日本の労働組合関係者、企業、学識経験者、マスコミなど計72名にオンライン形式にてご参加いただきました。今回はスウェーデン、ドイツ、イギリスの労働組合代表、日本の有識者にご登壇(イギリスは録画ビデオ講演)いただき、それぞれからの報告やパネルディスカッションを行いました。

JILAF相原理事長の主催者挨拶の後、基調講演Ⅰとして、高﨑 真一ILO駐日代表から「ビジネスと人権」について、基調講演Ⅱとして、水町 勇一郎 東京大学社会科学研究所教授から「プラットフォーム(PF)ワーカーの現状と課題」について講演をいただいた後、同テーマにてスウェーデン、ドイツ、イギリスから報告を受けました。
また、「PFワーカーの現状と課題」をテーマに水町教授、スウェーデン、ドイツの労働組合代表にご参加いただき、パネルディスカッションを行いました。

<パネルディスカッション>要旨
・PF労働が増加し、労使関係や制度が包摂しない新しい問題を提起している。これまでのAI、アルゴリズムは雇用関係に影響を起こしている。
・社会保険制度はPF労働者の事故に対する補償、教育訓練、労働基本権、最低賃金をどうするかについての課題を各国共に抱えており、深刻な問題である。
・PF労働者を保護する案がEUで出ている。労使関係が強い国では、労使で最低賃金を決めてきたがPF労働者が新しいプレーヤーとして労働市場に入って来て混乱している。協約自治でやってきた国では、協約で守ることになろう。
・PF労働者は若年者が多く低報酬でハードワークだが、フランスの議論では、PFビジネスを健全に発展させるため衰退させてはいけないとしている。これまで働けなかった人が労働市場に進出しているも事実である。
・基本的な社会保護は、怪我・事故に対する補償、教育訓練、労働基本権の保護が重要である。欧米では最低所得補償の議論があるが、オンラインゆえ労働時間が不定期で最低限の生活ができることにはならない。
・日本の状況については現国会でフリーランス新法が審議される見込みであるが、その内容は事業主としての公正競争(独占禁止法)のための経済法のルールが主体で、社会的保護の記載は、「出産育児介護への配慮」、「ハラスメント防止措置」が入るだけで、社会的保護は入っていない。最低労働条件の保護とか社会保障の国の制度の位置づけなどは将来の課題となる。法律は最低限の保障であり、自分たちの問題解決(新しいビジネスと労働者保護)は労使関係で行うことが重要となる。どのように組織化するのか、IT活用での情報発信など、法律と同時に労働運動の重要性が認識できたと思う。課題は国際的にも同様であり、皆さんの今後の活動に期待したい。
以上

参加者の様子

  • ドイツ労働組合代表
  • スウェーデン労働組合代表①
  • スウェーデン労働組合代表②