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カリフォルニア大学労働組合、48,000人がストライキ

2022.12.14掲載

11月15日、22日のニューヨーク・タイムズ(NYT)、21日のイースト・ベイ・タイムス(EBT)などによると「14日から始まったカリフォルニア大学労働組合のストライキが2週目に入った」と伝えている。同大学はロサンゼルス校(UCLA)やバークレイ校の名で知られる全米有数の有名大学である。

全米自動車労組(UAW) が組織するこの労働組合には同大学10キャンパスで教授助手や各種調査担当として働く大学院生48,000人が所属しており、高騰する物価へ対応する賃上げを要求して今回のストライキとなったが、米国でもここ数年来と言われる大規模ストライキである。
ストライキには期限が設けられておらず、無期限ストだが、合意が近いともいわれる。

米国の中でもカリフォルニア州は特に物価の高い地域だが、中でも家賃が高く、彼らが掲げるプラカードにも、「家賃が高すぎる」「教育は搾取が終わるところから始まる」「名声では食っていけない」などの文字が見える。
生物物理学博士課程3年生のある学生は「今年春の洪水時に他のアパートを探したが、今の収入では入居できなかった。友人の部屋のソファで寝るか、車で寝るかで2か月を過ごし、探したキャンパスから25キロのワン・ベッド・アパートは家賃1,200ドル、2,300ドルの収入では食費とガソリン代で残るものはない」と不安をあらわにする。
UAW幹部は「助手の多くは年収24,000ドル程度だが、基本給年収54,000ドルは必要だ。90%の人たちが高額な家賃に苦しんでおり、家賃は収入の30%から50%に達している」と述べている。

EBTによると、大学側の発言で「健康保険、育児手当、有給休暇の充実などのほか、賃上げを主要課題として、初年度の3-10%賃上げを提案した。これは主要公立大学のトップに並び、ハーバードやマサチューセッツ工科大学などの有名私立大学とも比肩しうるものだ。労働組合とは多くの点で合意したが、賃金と家賃のリンクには合意出来ていない。中立の第三者仲裁機関の導入も提案した」と言われる。

ストライキ支援の動きも広がっており、チームスター労組加盟の配達運転手は大学への荷物配送を拒否、建設労働者も作業を遅延。一部の教授陣もピケに加わり、スト支援資金として目標額50万ドルの54%を集めた。また同州議員たちも支援に加わり、ある議員は「大学で教育や調査に当たる多くの人が貧困に喘ぐのは許しがたい。支援のためにピケに加わる」と語る。

ある大学教授によると「大学院生の増加、特に人文科学の分野での人手が過剰で、労使交渉では大学側が有利な状況にある。また教授推薦を必要とするなど学生側の立場は弱く、大学での労働市場は余り良い状況ではない。そういった状況が悪く、暗い見通しがに学生の決意を後押ししているのだろう。」と述べる。