米スターバックスの100店舗でストライキ
11月17日のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)、21日のフォーブス紙などが「スターバックスが赤いカップを贈呈する売上げキャンペーンの17日、全米の114店舗で労働者がストライキに入り、賃上げと人員増強の交渉に応じるよう要求した。最も多忙な日を狙った」と報じた。
組織したのは昨年結成された”スターバックス・ワーカーズ・ユナイテッド”(SWU)で、全国各地のストライキ風景をSNSに掲載して世論の支持を訴え、組合員は通行人に組合製の赤いカップを配布しつつ、賃金諸手当と待遇改善への労働組合支援を訴えた。
これに対し会社広報は「パートナー全員に責任を持ち、肩を並べて働く皆の会社にすることが会社方針だ」として、従業員をパートナーと呼び、「労働組合の必要はなく会社とパートナーの直接的な結びつきが重要だ。昨年度も賃金と諸手当引上げ、職業訓練に10億ドルを支出した」と言明した。
2021年後半から始まったスターバックスの労組結成については、全米9,000店舗のうち248店舗の労組結成投票が全国労働関係委員会(NLRB)により承認され、50店舗が結成に失敗した。新規申請は今年3月に減少、10月以降は17件に留まっている。
フォーブス紙によると、新労組との労使交渉について会社は先月、ようやく数十店舗の交渉に応じるようになったが、50店舗が交渉中、60店舗が来週交渉開始と言われる。労使交渉では労使の非難が相次ぎ、会社は誠実な交渉が出来ないとしてNLRBに40件の苦情を提出。労組は「会社代表は合意できないと交渉から抜け出す」と非難する。
これに加えて、会社は賃金諸手当引き上げを非組合員に実施しながら、労働組合員に対しては法的に労使協議による合意がなければ実施出来ないと主張する。さらには労組店舗の閉鎖や労組活動家の解雇などを繰り返して、組合員の怒りを買っているが、会社側は労働組合を排除する意図はないと否定し「解雇は会社規則に違反したため」と述べている。
「赤いカップの日」当日のストライキについて労働組合は「慢性的に人手不足のスターバックスのなかでも当日は特に多忙な日で、人手不足が顕著になる。収入面での影響も大きい」と語る。今回ストが全国的な協調の下に行われた意義は大きいとの評価がある。