ニューヨーク市が公務員労組とリモート・ワークについて同意
2月17日のニューヨーク・タイムズ(NYT)、ABCニュースなどが、「ニューヨーク市が同市最大の公務員労組と在宅勤務に同意し、7月から実験に入る」と報じた。
同市公務員の労働組合である37地区評議会は合意した5年労働協約を組合員投票にかけることになるが、協約内容は最初の4年間の年間昇給3%、5年度は3.25%、協約批准手当3,000ドル、最低時給18ドルなどのほか、焦点はリモート・ワークであり、同市職員の4分の1にあたる90,000人に影響を与える。。
アダムス市長(民主党、元同市公務員)は当初「一日中パジャマで勤務など認められない。公務員は民間とは違う」と反対したが、最後は ”フレキシブルワーク委員会”を設立して7月から実験的に在宅勤務についてテストしていくことで合意した。
ハード・ワークで知られる同市長は記者会見で「警察官、看護師、消防士、電車運転手など在宅勤務できない職種もあるが、パンデミック後の現実に合わせて、労働組合と協議して行きたい。全て在宅と言う訳にはいかない」と述べた。賃上げ予定額のうち市の予算で確保しているのは1.25%であり、どのように残りの額を負担するのか、同市は財源探しにも課題を残した。
NYTが紹介する労組役員は在宅勤務について「フレキシブルワーク委員会は交代勤務や時差勤務、週4日勤務などを検討することになるが、フードスタンプ(連邦政府発行の低所得者向け食品券)のオンライン処理などは外部勤務が可能だ。現実に合わせてどう柔軟に対処出来るかの問題だ」と語る。パンデミックから3年、ニューヨークでは未だ多くの公務員が週5日勤務に戻っていない。
アダムス市長が在宅勤務を強く批判するのも、建築局や社会サービス局などの多くの部門で20%の定員不足から業務が滞っている現状から来る。37評議会には会計士から動物園職員など1,000種類もの異なった職種があり、職務形態も多様を極める。
これに続く他公務員組合との交渉にも多くの論争が予想され、次に予定の警察官労組は「警察官の特殊な任務と厳しさに見合った労働協約が必要だ。多くの警察官が賃上げや質の高い生活から取り残されている」との声明を発表したが、その次には教職員組合との交渉が予定されている。
※以下、参考として。
https://www.nytimes.com/2023/02/17/nyregion/adams-remote-work-dc37.html?searchResultPosition=1
https://abc7ny.com/labor-nyc-union-eric-adams/12831819/