2022年 アゼルバイジャンの労働事情 (ユーラシアチーム)
2022年7月1日 報告
本報告は2022年6月27日~7月1日にJILAFが実施した招へいオンラインプログラム(アゼルバイジャン、ウズベキスタン、カザフスタン、ジョージア)における、アゼルバイジャンの参加者から報告された「アゼルバイジャンの労働事情」および、同提出関連資料に基づいて作成した。
ナショナルセンター アゼルバイジャン労働組合連盟(AHIK)
- アゼルバイジャン労働組合連盟(AHIK)国際政策局 局長
- アゼルバイジャン労働組合連盟(AHIK)組織局 スペシャリスト
(1)国の規模感
- ・人口
- アゼルバイジャンの人口は1013.9万人である。
- ・産業別人口構成
-
第1次産業 第2次産業 第3次産業 アゼルバイジャン 36.3% 14.7% 49% - ・国内総生産成長率(2021年)
- アゼルバイジャン:-4.3%
- ・一人当たりの国民総所得
- アゼルバイジャン:4490ドル
(2)報告事項
アゼルバイジャンでは労働者の社会的権利の保護は優先事項となっており、アリーエフ大統領が署名した「国民経済と経済の基本的セクターに関する戦略的ロードマップの採択について」に今後の方向性が提起されている。その核心は石油に頼らない経済の多様化である。このロードマップに従って、各分野の行動計画が作られている。しかし、2020年に全世界を襲ったコロナ禍が、経済危機を招いた。アリーエフ大統領は雇用を維持するように指令、これに対応して.AHIKは、全ての加盟組合に書簡を送り、労働者の削減計画を即座に察知し、それを実施させないことと休暇期間中の給与未払いを避けるように指令を出した。その結果、2020年の前期11万の労働協約が結ばれている私企業と90万の国営企業の職に関して言えば、基本的に雇用は守られ、賃金も払われたと言える。
個人的な労使紛争はアゼルバイジャンでも増加傾向にあるが、その解決方法としては裁判と労働組合に作られた苦情処理委員会がある。後者は、裁判の前に苦情を取り扱うことになっており、2021年中には88件が取り扱われた。最近の問題としては、労働者が協約の対象とならないまま、無協約状態で働かされる事態の増加がある。今では労働者を雇用すると電子的情報システムで登録されることになっているが、ここに記帳されないという問題が起こっている。これは労働者を無権利のままに働かせることを意味しており、重大な問題と組合は認識している。
アゼルバイジャンでも外国投資が増えており、これまで14の多国籍企業と23の協定が結ばれている。英国アゼルアルミニウム合弁企業、欧州たばこなどでは良い結果が出た。ただし現地の従業員に低賃金、外国人には高賃金といった状況は継続している。経営者側がセンシティビティに無関心で、労働規範が無視されていることが問題だ。それを受け、AHIKは全ての企業に法律を守るように訴えている。