国際労使ネットワーク等を通じた組織化による草の根支援事業 (SGRA)政労使代表者会議の開催
国際労働財団(JILAF)は、2月16日~17日、「国際労使ネットワーク等を通じた組織化による草の根支援事業(略称:SGRA)」の政労使代表者会議を、カンボジアの首都プノンペンにおいて開催しました。
会議には、SGRA事業実施7ヵ国(タイ、ネパール、バングラデシュ、ラオス,ベトナム、スリランカ、カンボジア)の中央政労使代表者や、日本国厚生労働省大臣官房国際課長他、計56名が参加しました。この会議では、①今年度事業の成果・実績と課題、②今後の各国活動方針(案)を相互共有しました。
開会式では、カンボジアの労使代表、在カンボジア日本国大使館の和泉書記官、冨永労済協会常務理事に続いて、中村厚生労働省大臣官房国際課長が挨拶しました。更に、主催者を代表して相原理事長から、本会議の目的などを共有しつつ、相互に学びあう意義ある場にすると挨拶しました。最後にホスト国を代表してカンボジア、労働職業訓練省のバンナロット長官が開会を宣言しました。
各国からのセッションにおいては、最初に斉藤副事務長が今年度事業の主な特徴点についてポイントを絞って共有し、2022年度事業の着実な進捗を会場全体で確認しました。
続いてタイ、ネパール、バングラデシュ、ラオス、ベトナム、スリランカ、カンボジアの代表から、今年度事業の主な成果と課題、次年度事業のビジョンについて発表がありました。
会議の2日目に行われた質疑応答では、事業年数が浅いカンボジア、ベトナム、スリランカから、タイやネパール等の事業経験豊富な国に対して様々な質問が出され、各国から回答が示されました。質疑を受けて、厚生労働省の中村課長は、「本事業は各国の社会セーフティーネットの整備に向けて重要な役割を担っている。今後もこの歩みを止めることなく、政労使一体となって課題解決に向け前進していただくことを期待します。」とコメントいただきました。最後に相原理事長が「本事業の特色は、粘り強く持続的に課題に挑戦し続ける姿勢にあります。来年度のこの場では、意見交換のさらなる質の向上につなげていきたい」とコメントしました。
続いて、木暮JILAF参与から、インフォーマルセクター労働者や本事業に関わるホットトピックとして、「ビジネスと人権」についてその背景と現状を概括し、労働組合が極めて重要な役割を担っていることと、JILAFが各国労働組合の活動を具体的に後押しするべく、準備を進めていることを報告しました。
また、今回の会議では全労済協会から、日本の労働者共済の歴史と現状に関する特別講義が、こくみん共済co-op設立の背景や当時の課題に触れつつ行われ、会議参加者は、相互扶助の重要性や持続的な運営にかかる信頼醸成の重要性について学びました。
閉会式では、磯崎厚生労働省大臣官房国際課長補佐から、各国でのセーフティーネット強化に向けた取り組みのさらなる推進と事業成果の把握を要請した上で、厚生労働省として本事業を引き続き支援していく、とご挨拶いただきました。主催者を代表して元林常務理事は、インフォーマルセクター労働者がコロナ禍や物価の高騰等の負の影響を最も受けていることや本事業の意義に触れつつ、今回の会議で共有できたことを今後の事業推進、インフォーマルセクター労働者の生活・収入改善に繋げていただくことを期待する、と述べ、本会議を閉会しました。
会議終了後には、本事業で組織化されたカンボジアのトゥクトゥク(三輪タクシー)運転手から「組織化前と後の変化」、「相互扶助制度の現状」等について質疑を行い、交流を図りました。