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No.666(2022/4/18)
インド政府による民営化など経済政策に反対のゼネスト

 3月28日のニューヨーク・タイムズ、30日のガーディアン紙及びABCニュースなどがインドのゼネラルストライキを報道した。

 3月28・29両日のゼネストはインド全土の公務員・民間10労組、5000万人が参加して行われ、各地の道路や鉄道、公共交通機関が閉鎖、電力供給なども影響を受けた。
 今回のゼネストは各種の政府経済政策に反対するもので、独立契約労働、賃金、労働時間などにも関連する。インド南部のタミール・ナドゥ州では電力民営化と燃料費高騰に抗議するもので、共産党議員は「今の政府は労働者と貧者を虐待するものだ」と糾弾した。

 モディ政府は不採算な政府事業を民営化する方針で、政府系金融機関の最低持ち株比率も現行の51%から26%に引き下げる法案を上程、多くの銀行が対象になる。
 西ベンガル州やケララ州政府では公務員のデモ参加を禁止し、金融の中心ムンバイ市のマハラシュトラ州では州政府が電力企業8万人従業員のデモ参加を禁止、首都ニューデリでは議員たちが燃費高騰への抗議デモに参加した。
 ゼネストの要求項目は12項目にわたり、民営化計画の全面凍結、ごみ収集や人力車運転手などインフォーマルセクター労働者への社会保障充実などがあるが、インフォーマルセクター労働者はインド4億7,000万人労働者の80%を占める。

 ゼネストの主要労組であり、炭鉱、鉄鋼、石油、テレコム、銀行、保険部門を中心に600万の労働者を組織するインド中核労働組合(CITU)の幹部は「モディ政府はインフレの中でも賃下げを図ろうとしており、民営化も問題だ。鉄道や空港、港湾、石油、ガス精製、送電設備など全てを売却する。先達が残した財産を大企業や民間企業に売ろうとするものだ」と語る。

 インドでは大量失業や低賃金、インフレやコロナ・ウイルスで労働者が苦境にあるが、ガーディアン紙は「失業者が今年1月に5,300万人を数える中、大半の労働者がストライキに参加して職を失うことを恐れた感がある。」と記述する。

 また、インドでは昨年11月までの1年間、農業近代化を目指した法改定に反対する農民暴動が続き、首都ニューデリーでは数万人が街頭を占拠していたが、モディ首相が関連3法案を撤回することで抗議は収まった。法案は補助金の削減と農産物維持価格の撤廃を目指すものだったが、インド労働者の60%を占める農業労働者の反対に、各種選挙を控えた首相が譲歩したともされ、暴動で700人が死亡したとも言われる。

 なお、ザ・タイムズ・オブ・インディアの社説では、今回のゼネストへの参加人数が予定していた2億人規模のうち5000万人程度にとどまったことについて、「ゼネストは非力な一般労働者には贅沢なものだった。野党の協力が無かった点も問題だ。また農民運動との協力という絶好の機会を逃したことも反省点である」と指摘した。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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