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No.658(2022/2/9)
ILO報告書、世界の雇用見通しを下方修正
~コロナ変異株の影響もあり労働市場の回復は不確実に~

 1月17日、ILO(国際労働機関)は、世界の労働市場のコロナ禍からの回復について、「世界の雇用及び社会の見通し~動向編」(World employment and social outlook(WESO)-Trends)の2022年版を公表した(※)。これは、同報告の2021年版の内容を修正したもので、デルタ株やオミクロン株など新型コロナウイルス変異株の影響なども反映しており、世界の失業と就労状況が悪化することを示している。
https://www.ilo.org/global/research/global-reports/weso/trends2022/WCMS_834081/lang--en/index.htm

 報告によれば、世界の失業者数は、少なくとも2023年まではコロナ禍前を上回るとみられ、2022年には2億700万人に達すると推定されている。これは、コロナ禍の初年度である2019年の1億8600万人を2100万人上回る。

 また、2022年の世界の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合)は、2019年を1.2%下回る見込みである。報告は、これについて、コロナ禍で非労働力化してしまった人も多く、実際の失職者数は統計を上回っていると考えられ、雇用全体には統計の数字よりはるかに大きな影響があると注意を喚起している。

 これに関連して、報告では、コロナ禍のなかで、臨時雇用(temporary work)の人たちが雇用悪化の影響を大きく受けているとして、その深刻な状況に触れている。臨時雇用の総数に変化がみられないが、雇用契約が打ち切られたり更新されなかったりして減少する一方で終身型雇用から臨時雇用に置き換わった人たちがその分増加しているという。

 報告はまた、2022年の世界の総労働時間について、フルタイム労働者換算で、コロナ禍の前に比べ、5200万人分減少すると予想している。これは、2021年版での示した予測値2600万人分の倍である。これは、2021年分での1億人分の減少よりは改善するといえるが、それでも、コロナ禍前の世界の総労働時間を約2%下回ることとなる。

 ILOのガイ・ライダー事務局長は、このような状況について、「コロナ禍による雇用危機に突入して2年が経つが、回復の歩みは遅く不確実であり、労働市場に長く傷跡が残ることも考えられる。雇用の回復を持続可能なものとするには、安全衛生や公正、社会的保護、労使対話などを含むディーセントワーク(働きがいのある人間的な仕事)の原則に基づいたものとすることが必要である」と述べている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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