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No.653(2021/12/20)
中国で最低賃金の引上げすすむ

 11月26日、中国の広東省政府は、法定最低賃金について、ほぼ3年半ぶりに引上げることを通知した(「広東省人民政府最低賃金調整給与基準通知」)。同通知によると、広東省内では、深圳市を除く地域では、12月1日から最低賃金月額が9.5~14.9%増となり、深圳市では来年1月1日から7.3%引上げられる。

広東省政府は、法定最低賃金について、地域の状況によって第1類から第4類までに区分しているが、第1類の対象は広州市と深圳市である。広州市では法定最低賃金の月額が9.5%増の2,300人民元(約40,800円)、時給は9.4%増で22.2人民元(約395円)となる。深圳市では、月額が7.3%増の2,360人民元(約41,800円)、時給は広州市と同額の22.2人民元となる。

 第2類はいずれも広州市と深圳市に近い珠江流域の東莞(とうかん)市、仏山市、中山市、珠海市である。ここでは月額が10.5%増の1,900人民元(約33,700円)、時給は10.4%増で18.1人民元(約320円)となる。このうち、東莞市は人口が800万人を超える産業都市で、日本からも企業が進出しており、例年、現地の日系企業と東莞市政府の意見交換が行われている(「ジェトロ広州」による)。

 第3類は第2類より都市化の度合いが低い地域で、月額が11.0%増の1,720人民元(約30,500円)、時給は11.1%増で17.0人民元(約300円)となる。これに続く第4類では、月額が14.9%増の1,620人民元(約28,700円)、時給は15.0%増で16.1人民元(約285円)となる。従来は第4類であった広東省南端の港湾都市、湛江(たんこう)市は、今回は第3類に移り、月額は21.0%増となり、引上げ率は省内で最大となる。

 中国では、中央政府が各省政府に対して、法定最低賃金を2~3年毎に見直すように求めている。このため、2021年には、それに該当する直轄市や各省での見直しが行われた。実施時期でみると、今年7月に上海市、8月には北京市、江蘇省、浙江省、9月に湖北省、11月には遼寧省などで見直された。このうち、湖北省では平均で14.9%、浙江省では同じく13.4%の引上げであった。最低賃金額が全国トップの上海市では月額は4.4%増で2,590人民元(約45,900円)、北京市は5.5%増で2,320人民元(約41,100円)となった。

 なお、中国政府は、これまで目標としてきた「小康社会(いくらかゆとりのある社会)」は達成されたと宣言し(2021年7月)、現在は「共同富裕(皆が豊かになる社会)」を掲げている。今回の最低賃金引上げはこの動きを受けたものとの報道もある。一方では、賃金の上昇が続けば企業の海外移転を促進するとの懸念もあり、深圳市などでは、最低賃金に限らず一般の月例給与や労働条件についても抑制する動きがある。

  1. ※1:1人民元=17.72円(2021年12月1日のレート)
  2. ※2:東莞市、湛江市に付した仮名は日本語読み。
発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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