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No.651(2021/12/14)
チームスターズに新会長、戦闘的路線でアマゾン組織化に意欲

 11月19日のニューヨーク・タイムス(NYT)及びウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は全米トラック運転手組合、通称チームスターズ(140万人)の大会で、1999年就任のホッファ会長後任にオブライエン新会長(49才)が選出されたと報じ、来年3月の新任期からは戦闘的な方針に転換する可能性を述べている。

 オブライエン会長は2017年の会長選挙でホッファ氏に敗れた後、米国東部地方担当の副会長に就任、以来、UPS(米国小包サービス 35万人)との労使交渉やアマゾン組織化には批判的で、より攻撃的な取り組みを主張してきた。
 今回、ホッファ会長は立候補せずバイルマ副会長を会長候補に支援したが、バイルマ候補の57,983票に対しオブライエン候補は115,573を獲得して圧勝した。かつてはホッファ会長の盟友であったオブライエン氏だが、最近では活動が現状維持に甘んじ過ぎると強く批判してきた。

 ホッファ会長への信頼が揺らいだのは2018年のUPS交渉で、当時26万名組合員への労使協定暫定合意が規定に満たない3分の2以下の投票率のもと、54%の反対を受けたときであった。投票数不足を理由に協定は成立したが、それ以来不満が溜まり続けた。

 新会長はUPS問題だけでなく、アマゾンへの取り組みにも批判を加えた。労働運動への脅威だとされるアマゾン問題に対し、同労組は「必要最大限の資源を使ってアマゾン労働者を組織化するとの大会決議」を採択し、そのための組織委員会も創設しているが、オブライエン副会長はアマゾンへの対処が遅すぎたと、2012年からアマゾン組織化担当だったバイルマ副会長を非難した。

 これに対しホッファ会長は「20年前の会長就任時に分裂状態であった同労組を財政的にも組織的にも強化した。UPSの労使交渉でも多数の組合員が時給$40を獲得するなど、最善の協約が結べた。アマゾン問題も10年前には取り組む者もいなかった。20人を組織化するのも困難な状態で、オブライエン氏が言うほど単純ではなかった。」と答えている。

 ホッファ会長の父親は1957年以来同労組会長であったジミー・ホッファ氏だが暴力団との関係を噂され、1975年に刑務所出所後、失踪したままである。
息子のジェームス・ホッファ氏は弁護士としてチームスターズに加入し、1999年以来会長職を務めた。

 一時は殆どすべてのトラック運転手がチームスターズの組合員であったが、現在では900万人に増加した運転手の15%しか労働組合に加入せず、職業も魅力を失っている。

 NYTによれば、新会長の具体的なアマゾン対策は明らかでないが、全米各地に於ける現場労働者の声を集約してアマゾンへの圧力を強めるとされる。同労組は現在インディアナ州政府によるアマゾン社への減税反対やコロラド州の同社配送センター反対などの活動を展開している。

 新会長によるホッファ前会長への離反は2017年に起きた。オブライエン氏は副会長就任後にUPS交渉担当を命じられ、ホッファ批判派(2012年会長選のホッファ対立候補)を交渉チームに引き入れようとして解任された。

 オブライエン、バイルマ両候補にも幾つかの合意点があり、自営業トラックが公共の安全とチームスターズ運転手への弊害となること、運転手を独立労働者と規定することには反対であること、コロナワクチン接種の義務化には労使合意が必要なことでは共通しているが、UPS問題ではオブライエン氏が「バイルマ副会長は25年間の交渉で6回しかストライキしなかった。UPSはストライキしないと高をくくっている」と非難するなど対立の根は深く、今後に禍根を残しそうである。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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