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No.644(2021/10/7)
中国政府がインターネット配車会社に不正競争の是正を命令

 9月2日のワシントン・ポスト(WP)などが「中国政府がインターネット配車の11社に対し、不正競争や無免許運転手の使用を中止するよう命令した」と報道した。

 中国ではDiDi(滴々)などのインターネット配車会社が数百万のギグ労働者を運転手に使って、格安運賃のサービスを提供しているが、今回の政府命令は弱い立場にあるギグ労働者の長時間労働や低賃金に警告を与えるものとなった。

 またWPは「政府系の労働組合、中華全国総工会(ACFTU)が今年7月、労働権の尊重とギグ労働者保護のための労働組合結成を呼びかけている」と伝え、さらに、「DiDiは中国のインターネット配車市場の90%を支配しているが、これら11社は事業の再点検と、健全で持続可能な企業計画を策定するよう通告された。また中国政府は最近、成長を続けるEコマースやオンライン教育などの社会的影響に懸念を深め、アリババやテンセントなど巨大企業による独占禁止と情報管理に統制を強めている。」とも述べた。

 また9月3日のニューヨーク・ポストは「DiDiは2016年に中国ウーバー社を買収した後、事業を拡大して6億人の顧客を持つと言われるが、政府は顧客情報の不正使用があったと指摘。習近平政府の「共同富裕」の方針に基づき、アリババは手持ち資金の3分の1以上の155億ドルを各種慈善団体に献金した。」と伝えた。

 上記の「共同富裕」に至る経緯については説明する。
かつては文明の中心と言われた中国だが、19世紀の清王朝時代、英国は紅茶輸入による多額の赤字を埋めるために麻薬のアヘンを乱売して中国社会を腐敗させ、そこで起きたアヘン戦争に勝利して巨額の賠償金と香港の割譲を獲得したとされる。その後も中国は米国、フランス、ロシア、ドイツ等との不平等条約、20世紀には日本の侵略という諸外国からの侵略にさらされた。そうした間、国内は乱立する軍閥による内戦で荒廃したが、その中から1949年に毛沢東による共産党政府が誕生した。

 共産党政府は当時の巨大な人口膨張と貧困を抑えるために「一人っ子政策」を採用し、経済面では「先富論政策」(豊かになれる者たちを先に富ませて、落伍したものを助け、富裕層が貧困層を援助する政策)を実施して経済力強化に成功、世界第2位の国力を築いた。しかし現在の状況は「人口の1%が30%の富を支配し、6億人が月収1,000元(約17,000円)という経済格差拡大の状態」(9月8日 NHK国際報道)にある。

 そこで習近平政府が打ち出したのが上記の「共同富裕」という富の再分配政策である。様々な見方はあるだろうが、こうした近代中国の歴史を背景に、平等で豊かな一般国民生活の実現を目指して共同富裕政策に取り組むことで、格差が縮小されること、その進展には民主主義が伴うことを期待したい。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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