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No.642(2021/9/24)
バングラデシュのアパレル産業で労働者保護の新協定締結

 2021年8月25日、バングラデシュでは、アパレル産業等の労働者を保護するための新しい国際協定が締結された。グローバルな産業別労組であるUNIグローバルユニオン(UNI)の同日の報道によれば、この協定はバングラデシュに工場を持つグローバルな繊維・衣料産業界の代表と、UNIならびに同じくグローバルな産業別労組であるインダストリオール・グローバルユニオン(IndustriALL)との間で向こう26か月を有効期限として調印されたもので、「繊維・衣料産業における安全衛生のための国際協定」(The International Accord for Health and Safety in the Textile and Garment Industry )という。コロナ禍もあって新協定の締結に至る道は容易ではなく、旧協定の期限が近づくなか、交渉の期限を3か月延長し、今回の合意に漕ぎ着けた。

 UNIによれば、この新協定は法的拘束力を持つものであり、内容のポイントはつぎのとおりである。(1)独立機関である「既製服産業サステナビリティ協議会」(RSC: RMG(Ready-Made Garment)Sustainability Council)によるバングラデシュでの健康・安全プログラムを継続すること、(2)この協定をバングラデシュ以外の国にも拡大していくこと、(3)協定の内容を人権デューデリジェンスに広げる選択を持つこと、(4)協定の各項目の実効性を高めるための効率的な仲裁プロセスを選択できること、などである。バングラデシュ国内では、この協定は上記のRSCにより履行される。

 バングラデシュでは、2013年4月24日、アパレル産業の工場ビル倒壊により1100名以上の労働者が死亡する「ラナ・プラザの惨劇」が発生した。その3週間後に、今回の新協定の基盤となった旧協定が締結された。これを受けて、現地に対策を推進する組織が設置され、独立した安全監査の実行、透明性のある改善のための規則、労働者の苦情処理システム、関連する訓練などが行われた。旧協定には200を超えるグローバル企業が署名し、2018年には1600以上の工場と200万人の労働者が対象であった。

 新協定の意義について、UNIのクリスティ・ホフマン書記長は、「今回の国際協定は、法的拘束力、透明性、説明責任が特徴であるが、同時に、現代のデューデリジェンスがバングラデシュそしてその他の国々でどうあるべきかも示している。バングラデシュでの取組はこれからが重要であり、新協定はRSCを強化し、グローバルなブランド企業が労働者たちへの責任を実行するための力になると思う」と述べた。

 また、米国のニューヨーク・タイムス紙は、8月25日、この新協定について報道した。それによれば、スイスの企業であるH&Mが最初の署名を行い、スペインのInditexが続くなど、企業の対応は進むであろうとしている。だだし、米国のウォルマートやTarget、Gapといった企業は2013年の旧協定の締結にも参加せず、それとは別に「バングラデシュ労働者の安全のための同盟」(the Alliance for Bangladesh Worker Safety)という組織を設置したが、2018年に対応を終えたことなどを伝えている。
 なお、バングラデシュでは2021年7月8日、首都ダッカ近郊のナラヤガンジにある飲料工場で大規模火災が発生、ITUC-AP(ITUCアジア太平洋地域組織)によれば、児童労働を含む52名が死亡、30人以上が負傷した。ITUC(国際労働組合総連合)は、同国政府に被災者の救済と再発防止を強く求めた。また、連合は「支援に向け、ITUCおよびITUC-APと連携して対応する」としている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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