バックナンバー

No.641(2021/9/24)
東京オリンピック・パラリンピック、労働者参加のレガシー残す
~コロナ禍のなか、持続可能性への配慮とディーセントワークを推進~

 東京では、2021年7月23日から17日間、オリンピックが開催され、205の国と地域、そして難民選手団の約11,000人が参加した。8月24日から13日間はパラリンピックが開催され、161の国と地域から約4400人が参加した。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大するという厳しい状況のもとであったが、両大会は成果をあげて閉会した。そして、東京大会の大きな特徴の一つは、持続可能性に配慮したものとするために、労働組合が積極的に参加し、役割を担ったことである。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催は2013年に決定され、東京に組織委員会が置かれた。連合は、同委員会に対して持続可能性に配慮した運営とすることを要請し、その準備と運営に関与することになった。連合の神津里季生会長と連合東京の杉浦賢次会長が組織委員会の顧問を務め、大会の運営計画において人権・労働の視点が盛り込まれた。持続可能性部門や公正な調達を実現する委員会にも労働組合代表が参加した。

 労働組合がオリンピック・パラリンピックに関わるようになったきっかけは、2012年のロンドン大会である。英国労働組合会議(TUC)は社会的に価値あるイベントとするために参加することを確認、大会組織委員会にはTUCの前書記長がリーダーシップの一人として参加した。ロンドン大会はメイン会場を貧困地区に設定、大会の目標に持続可能性への貢献と、準備と運営におけるディーセントワーク(働きがいのある人間的な仕事)の実現が掲げられた。

 今回大会では、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会(JOC)と国際労働機関(ILO)との間で、五輪史上はじめて、大会の準備と運営を通じてディーセントワーク(働きがいのある人間的な仕事)を推進するための覚書が締結された。2018年4月に、東京で、JOCの武藤敏郎事務総長とILOのガイ・ライダー事務局長が署名した覚書には「企業の社会的責任ある労働慣行に関する啓発活動の推進」などが記されている。

 今回の東京大会で労働組合が取組んだ主な活動は、まず、会場の建設や調達する資材やサービスが人権や労働基準、安全衛生を尊重するものであること、そして、その苦情処理システムに参加することであった。さらに、組合員に向けて、大会でのボランティアや会場での支援などへの積極的な参加と協力を呼びかけた。連合と連合東京は、とりわけパラリンピックを重視し、組合員への働きかけを行った。COVID-19の感染拡大により参加は制限されたが、多くの組合員や家族がメディアなどを通じてパラリンピックの選手たちに声援を送った。東京オリンピック・パラリンピックは、世界的なパンデミックとの闘いに追われたが、労働者参加の新しいレガシーを残して閉幕した。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.