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No.637(2021/8/25)
全米各地にコロナワクチン義務付け広がる

 コロナ感染者が6月末日から比べて300%以上に急増しているニューヨーク市は全職員にコロナワクチンの接種証明の提出ないし週1回のPCR検査を義務付けると公示した。約34万人の職員が対象になるが、同様の命令はすでに、医療機関に対し出されている。この点について、ニューヨーク市の公式サイトは「コロナの震源地中の震源地であったニューヨークは数々の努力を積み重ねてきたが、パンデミックには終わりが見えない。私たちは、自分自身や同僚、そして大切な人たちを守るためにあらゆる予防措置を講じる責任がある。この新たな要請は市職員による市民へ安心を与えるものだ」と述べている。

 「これに対し、米国州・郡・市職員同盟(AFSCME)のニューヨーク支部委員長は『要請は労働組合との交渉なしに出された』として非難したが、米国教員連盟(UFT)は『ワクチン接種の要請は個人的事情も配慮し、定期的なPCR検査も定めている』と評価した。他方、ニューヨーク市のデブラシオ市長は『使用者として、市民の健康と生命を守るための緊急措置の実施に権利がある』と反論。労働関係委員会は『未接種労働者でマスク着用を拒否する者の勤務はできず、給与も支払わない』と言明した。」(以上ワシントン・ポスト 7月26日)

 同様の要請はカリフォルニア州でも出されたが、ワクチン非接種の労働者のマスク着用は義務である。こうした各州政府機関の動きに対応して、民間にもワクチン接種義務化の気運が高まっており、自動車メーカー、小売業、各大学、IT企業、テーマパークなどに広まっている。
 最近ではウォルトディズニーやマイクロソフトがワクチン接種を義務化、最大小売企業のウォールマートは本社勤務者への接種を義務化しつつ各拠点労働者のワクチン接種に150ドルのボーナスを出す、グーグルやフェイスブックもワクチン接種の要請を出している。
 しかし、こうした動きに戸惑う企業も多く、マスク着用義務にとどめるものや在宅勤務制度を続ける企業もあるが、労働者不足が深刻化する企業、特に低所得のエッセンシャルサービス企業では労働者への強い要請に懸念が多い。

 他方、公立、私立の各学校ではデルタウイルスの急増を受けて9月からの学校再開計画を柔軟に見直す方針に転換しつつ、マスク着用を義務化している。飲食店の中には従業員だけでなく顧客にもワクチンの接種証明を求める企業が増加している。
また、8月2日のワシントン・ポストは「未接種者への対応にしびれを切らせて、要請から義務へと転換している企業が出てきた」と報道したが、その多くは事務職の多い企業と言われている。なお、ワクチン接種拒否者の多くがその理由を「アメリカ食品医薬品局(FDA)の完全承認を待ってから」としている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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