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No.630(2021/7/6)
韓国の労働時間制度改正、7月から中小零細企業に拡大

 韓国では、7月から、5人以上の従業員を持つすべての企業で、休日労働を含む労働時間の上限が週52時間となる。これは、週労働時間の計算方法をめぐる2013年のソウル高等法院(日本の高等裁判所に相当)の判決等を踏まえ、2018年に勤労基準法(日本の労働基準法の相当)が改正されたことによる。

 この勤労基準法改正については、大企業から順次施行されてきたが、今年7月1日からは中小零細事業所を含む従業員5人以上のすべての企業が適用対象となる。これに違反した場合には、2年以下の懲役または2千万ウオン(約194万円)の罰金が課される。

 韓国では、従来、休日の労働時間を週労働時間に含めない慣行があった。勤労基準法では法定時間は週40時間であり延長上限は12時間と定められている。しかし、休日の労働時間が別枠とされることから、事実上、最大で週68時間の労働時間が容認されていた。長年の慣行であることから、韓国の雇用労働部(労働省に相当)が行政通達のかたちで認めていたものである。今回の法改正では「1週とは休日を含む7日をいう」との規定が追加された。

 従来の慣行であった休日を含む「週68時間労働」については、以前から勤労基準法の考えかたとの整合性が問われていた。これについて、韓国城南市で環境美化員(清掃業務等)として働く労働者が、法定労働時間を上回る休日労働は時間外割増賃金の対象 にするべきと訴えた。これに対して、ソウル高等法院が、2013年9月、従来の慣行を違法とする判決を行ったものである。なお、30人未満事業所の場合には、2022年末まで、移行措置として、労使の合意による8時間の延長が認められている。

 7月1日からは、同時に、勤労基準法改正による弾力的勤務時間制(変形労働時間制)の拡大についても、5人以上の従業員を持つすべての企業が対象となる。弾力的勤務時間制は、従来、3ヶ月位内で扱われていたが、この単位期間が6ヶ月以内に拡大される。これは、週労働時間の規制強化による企業の負担増を緩和するねらいがあるとされる。

 これに伴い、労働者の健康確保措置も強化される。改正法により、使用者は、労働者の当日と翌日の就労の間に、11時間の休息時間を与えること(勤務間インターバル)が義務づけられる。これには、弾力的勤務時間制の拡大により、長時間労働が増加することを防止するねらいがある。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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